【d!】脅.威.溺.愛.中

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tn side


「トン氏、トン氏…終わったぞ」


不意に聞こえた声に、バッと顔を向けた。寝ていたのは数分のようで、軽く目を擦り、眠気を抑え込む。


「…やれば出来るやん。いっつも、ちゃんとやってくれればええのに」


「んーまぁ…トン氏には迷惑かけとるしな。頑張ったんだゾ」


そう言ったグルさんは俺に優しく微笑みかけると、窓の外を静かに眺め始めた。その視線の先が気になって、一緒になって外を眺める。


「ゾム達が登校しとるみたいやな」


「…あー、噂のカップルか」


嬉しそうに…でも、少しからかい気味に言うグルさんにそう返す。
ゾムの彼女、花宮さんはゾムを落とした女の子として随分と有名になってしまった。
今では、あのカップルを知らない生徒はこの学校にはいないだろう。


「…結婚までいきそうだな、あの二人は」


「グルさんこういうの興味なさそうなのに、嬉しそうやな？」


「まぁ…ゾムには幸せになって欲しいからな」


「本音は？」


「…うちの学校の有名なカップルが結婚まで行ったら、それをネタに新しいイベントも作れて、志願者増え放題じゃね？」


ゲスな本音にため息をつくが、この人はこういう人だと簡単に割り切る。
そして、これ以上の会話はもうないと窓の外にいるゾム達から目を離そうとした時。


「それでも、結婚までいってほしいっていうのは本当だがな」


そんなグルさんの言葉に心の底から笑みが溢れて、またゾム達に視線を向け。


「俺も」


と弾んだ声で返事をした。

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