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忠誠 ページ41

「私は貴方様に仕えるために一色家にずっと身を置いておりました」






俺は、なんて返すのが正解なんだろうか…


いや、必然ていうか、偶然だよ。ほんとに。ただの偶然。



どうせまたすぐ高専戻るし。






「俺はあと3年は高専にいるつもりだし、お前のことは連れていけない」



「…」



「が、この腐った家でそんな些細な出来事さえ覚えていてくれたことを嬉しく思うよ」






にこ、と微笑み、真っ直ぐに目の前のこいつを見つめる。



するとじわじわと目がうるうるしてきて、ついには涙を流し始めた。


え、!?


おい、






「えっ、と、!? こういう時ってなにすんの…!? 何か気に障ったのなら、あ、謝る。泣くな、」



「い、いえ、謝らないでください…!若様が私を気にかけてくれたことが嬉しくて…」






?????


な、なんなんだ…



こういう時どうすればいいんだ…






「ただ、なんのお役にも立てないのが心残りでございます……」



「そんな気にすん……… いや、頼み事、いいか?」



「は、はい!」



「あー… 頼み事、というか聞きたいことなんだが、ジジ… 前当主の部屋の奥に離れがあるだろ?あの部屋鍵がかかってたんだが、鍵の場所知ってるか?」



「鍵は、松前殿が持っていたと思いますが…」






ふむ、


……使用人のことは使用人に聞くのが一番だよな?






「なぁ、松前のことでなんか気になることなかった?」



「気になることですか…? そうですね…

よく前当主様にくっついていたのは記憶に新しいですね。あと、あの離れについてもよく聞かれていました」



「離れについて?」



「ええ。あの離れは当主以外を弾く結界がなされてますので」






…なるほど。


だから当主のみに受け継がれる鍵が必要か。そして、結界を抜けるには当主の血を使う必要がある。






「……そういえば、以前松前殿があの部屋に入って2日ほど出てこないことがありました。

私もこちらの棟に配属されたばかりでしたし、誰も気に留めていないので、そういうものなのかと」



「っそれはいつ…!!!」



「わ、若様が高専の方々とここを訪れる2週間ほどま、え、」






ガッ、と胸ぐらを掴み勢いよく揺さぶる。



2日ほど出てこなかった?


俺らがここに来る2週間前??




ビンゴ…!!!






「お前、名前は」



「へ?」



「名前」



「た、(たちばな)と申します」



「そうか。

ところで橘。松前、今何処にいるか知ってる?」





 

やっぱり→←時は過ぎ



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夜桜(プロフ) - 面白いです。頑張ってください グリムジョーが、カッコイイです。 (2021年2月20日 17時) (レス) id: 61068c4ac1 (このIDを非表示/違反報告)
むーちゃん(プロフ) - 続編おめでとうございます!凄くいい展開で楽しみです!更新頑張ってください!! (2021年1月16日 10時) (レス) id: 61a580f902 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年1月15日 16時

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