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もくもく 3 ページ25

幸か不幸かどこから家出してきたのかは聞かれず、また自分からも言わなかったAは名前だけを名乗る。ファミリーネームなんかこの歳じゃ分からなくもないか、と1人納得したスモーカー。

四皇の海賊船の娘だなんてここで口を滑らしてしまったならばまぁ大変。


それは無意識か、本能か。

なんか色んな奇跡起きてるよ。


きらきらしたおめめに普段から慣れていない彼は、うぐっ、と言葉を詰まらせたものの自分からの返事を待っているように見える少女に呆気なく折れた。





「Aか、いい名前だな」


「わ!うん!!」


「あー、っと…… そうだな…… 何か困ったことがあれば俺のとこに来るといい。力になってやる」


「いいの!あそびにいっても!?」


「仕事中じゃなきゃな」


「もう、スモーカーさんったら。素直にいつでもおいでって言ってあげればいいのに」


「うるせェぞ!」


「じゃあじゃあ!Aちゃんとスモーカーさんはおともだちだね!」


「……は?」





目の前の子どものあまりの純粋さに毒っ気を抜かれるのが早すぎるスモーカー。元来の彼は友達を作るような性格ではない。が、しかし、いとも簡単に懐に入り込んでみせたAに唖然とする。

コイツやりにくいな、と思いつつものの数分で絆されてしまう。無理もないぜ、だって可愛いんだもの。


たしぎも既に警戒心を解かれ、もはや全てAの手のひらの上で踊らされているのではないかとコチラとしては疑いたくもなる。幼女はつよつよなのだ。



束の間のセラピーを受けた後、じゃあな、と言ってスモーカーは立ち去ろうとした。

したのだ。





「そうだ、スモーカーさん!まだお昼食べてないですよね?」


「いや、俺は」


「Aちゃんも一緒に食堂へ行きませんか?」


「え!しょくどう!?いく!」


「おい、行くとは言ってな、」




「じゃあ手を繋いでいきましょう!ここから少し離れたところにあるので離れないでくださいね」


「はぁい!」


「聞けェ!」




時にたしぎも最強なのだ。


スモーカーが呼び止めようとした時にはもう2人は歩き出していて、仲睦まじく手を繋いでいる。

たしぎが振り返り、スモーカーが来ていないことに早く早くと呼びかける。そしてため息をつきながらその後を渋々追う。


スモーカーは知っていた。こうなったたしぎは面倒くさいと。そして、自分が行かないとなればさらに面倒になると。

だが、本気で嫌がっているわけではないことは当人もたしぎもわかっていた。

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作者名: | 作成日時:2023年10月23日 23時

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