episode35 ページ37
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Aが炭治郎と合流した時、既に場は大惨事だった
ひどく損傷した建物、人々の悲鳴、多くの血の匂い
それから鬼化が進んでいる竈門禰豆子
『……』
Aは目の前にいる鬼──堕姫を一瞥した後、炭治郎に抑えつけられている禰豆子の首元に刀を向けた。
「ち、茅ヶ崎さん!これは…」
『説明は要らない。…今すぐソレをどうにかして。無理なら斬る』
禰豆子の鬼化について、弁明しようとする炭治郎を一言で黙らせたAは、珍しく誰が見てもわかるほど怒りを露わにしていた。
「あんた柱ね!そう、そっちから来たの。手間が省けた…」
『黙れ。お前とは話をしていない』
「何ですって!?」
『……』
背後に鬼がいるにも関わらず、そいつには目もくれずに禰豆子に刀を突きつけるAは、この瞬間、誰よりも恐ろしく殺気立っていた。
『ぐずり出すような子は戦闘に邪魔。…戦うと決めたのならこんなことで足を引っ張らないで』
「でも…っ」
『妹を助けたいんでしょ。…子守り唄でも歌ったらいいんじゃない、知らないけど』
「ウガァ!!!」
炭治郎が返事をするより前に、禰豆子が唸り声を上げながら暴れ出す。
その反動で、竈門兄妹は揃って二階から外へ放り出され、Aの視界からいなくなった。
「あんた何なのよ、気味悪いわね」
『……』
「ちょっと、無視しないでよ!!可愛いからって調子に「お前、首斬られてんぞ」」
喚く堕姫に無視を決め込んだA、そして音もなく現れた宇髄に場は収束するどころか更に騒々しくなる。
「あんた何処から…あんたも柱ね!!」
「はぁ?“も”?…お前に用はねぇよ」
「どういう意味よ!!」
尚も喚く堕姫に、Aは溜息を吐く。
そしてゆっくりと堕姫に近づくと、彼女の頭を掴み、それを
「は……?」
『斬られてることにも気づかず、柱と一般隊士の区別もつかない奴に用はない。探してるのは上弦の鬼』
「アタシが上弦の陸よ!!」
「だったら何で頸斬られてるんだよ、弱すぎだろ。脳味噌爆発してんのか」
「アタシまだ負けてないからね、上弦なんだから!」
「負けてるだろ一目瞭然に」
宇髄に言いたい放題言われた堕姫は、ついに耐えかねたようにギャン泣きを始めた。
それを見てドン引きする宇髄の横で、Aは一人異変に気付き、険しい顔をして刀を構えた。
『…宇髄さん。この鬼、体の崩壊が始まらない…』
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きなこもち(プロフ) - ひかるさん» 観閲ありがとうございます、とっても嬉しいです! (2022年5月8日 19時) (レス) @page50 id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - すごく面白いです! (2022年5月8日 15時) (レス) @page25 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - いいさん» いいさん嬉しいお言葉ありがとうございますm(_ _)m。マイペース更新ですが頑張りますのでこれからも見ていただけたら嬉しいです! (2021年10月19日 15時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
いい - 一瞬で心鷲掴みにされました!応援してます!頑張ってください! (2021年10月17日 9時) (レス) @page47 id: ac051c4e24 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 凌雲さん» 嬉しいコメントありがとうございます!とても励みになりますm(_ _)m (2021年9月23日 10時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年4月5日 17時