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episode24 ページ26




ふと、意識が浮上して自分が再び夢路を辿っていたことに気づく。



『……』



どのくらい眠っていたのだろうか。普段はこんなにも目が覚めないことなんてないのに。


そんなことを思いつつ段々と覚醒する脳内と感覚で付近に人の気配を感じ、そちらに視線を向ければそこには義勇がいた。







「起きたか」

『……』




自分の目が信じられなくて、二回程ゆっくりと瞬きをしてみたけれどやっぱり自分の目が映すものは変わらない。



どうして此処に、と思う気持ちもあるが、昨晩からの件もあって何をどう言葉にしたらいいか思いあぐねてしまう。



そうしていたら、すっと義勇が近づいてきて片方の手を私の首にそっとあてた。
その手つきがひどく優しくて、相変わらず意外と体温が高くて、なんとも言えない気持ちになった。


「痛みはないか」

『…うん』

「……すまない」


ぽつり、と小さな声で。
罰が悪そうに、悲しそうに、そう言うから。



それが何に対する謝罪なのかとか、まだ私は納得できてないことの方が多いこととか、
全てが少しだけどうでもよくなってしまって。






『……私も、ごめんなさい』






気づけばそう口にしていた。









「夕食は揚げ出し豆腐だ」

胡蝶さんに一言声を掛けてから蝶屋敷を出て、水柱邸へと向かう道中。
何の脈略もなく義勇がそう言うものだから、思わず足を止めてしまう。
だって、揚げ出し豆腐は私の好物。こんな時に好物を用意してくるなんて、機嫌取り以外の何ものでもないだろう。



「どうした」

『…それってご機嫌とり?』

「そうだ」

『……』


一応確認してみたけれど、まさかの即答に今度は言葉を失った。
…私は食べ物で釣れるような簡単な奴だと思われているのだろうか。



一瞬、そう思ったけれど。





義勇が頬を緩ませているのがわかってしまって、やっぱり何も言えなくなったし、どうでもよくなった。




『義勇、先に帰ってて』

私の言葉に義勇は首を傾げた後、少しだけ不服そうに「何故」と問うてきた。


『……私も、義勇のご機嫌とりしたい』


だから買い物してくる、と。



そう続ければ義勇はしばらく目を丸くし、私の言葉の意味を咀嚼したのか、「そうか…」、と珍しくわやすい程に口角を上げていた。




「……何だ」

『いや、何でもない…。じゃ、また後で』






その様子を見て表現が正しいのかはわからないけれど。





“愛おしい”と、そう思った。

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きなこもち(プロフ) - ひかるさん» 観閲ありがとうございます、とっても嬉しいです! (2022年5月8日 19時) (レス) @page50 id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - すごく面白いです! (2022年5月8日 15時) (レス) @page25 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - いいさん» いいさん嬉しいお言葉ありがとうございますm(_ _)m。マイペース更新ですが頑張りますのでこれからも見ていただけたら嬉しいです! (2021年10月19日 15時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
いい - 一瞬で心鷲掴みにされました!応援してます!頑張ってください! (2021年10月17日 9時) (レス) @page47 id: ac051c4e24 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 凌雲さん» 嬉しいコメントありがとうございます!とても励みになりますm(_ _)m (2021年9月23日 10時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年4月5日 17時

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