冨岡義勇の妹弟子【鬼滅の刃】

episode21 ページ23

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胡蝶しのぶは目眩がしていた。



「いいですか、Aさん。貴女はこれから柱合会議に参加します。…が、貴女が口を開いたところで状況は悪化するだけですから、とにかく何を言われても黙っていて下さい。余計なことを言って自分の首を閉めないでくださいね」



再三、産屋敷の庭に集まる前に彼女に口酸っぱくあれ程忠告しておいたのに。





『…伊黒さん、木から降りてきてください。そして先程の「冨岡を拘束していないことに頭痛がする」という発言、取り消してください』

「うるさい、そもそもお前も同罪であろう。冨岡もろとも拘束されるべきだ」


まだ竈門炭治郎の裁判が始まってすらない、更に言えば此処に来てから僅か数分で茅ヶ崎Aは蛇柱である伊黒小芭内に楯突いている。



自らの忠告に、らしくもなく『わかりました』としおらしくしていた彼女は何だったのか、としのぶは溜息をつく。
彼女を援護しようにも、本人がこの様では助けようがない。どういうことだ、と彼女の兄弟子を見れば彼もまた、小さく溜息を吐いていた。



「…まぁまぁ。それより私は坊やの方から話を聞きたいですよ」

しのぶは態とらしく軌道修正をしつつ、Aに「口を閉じていろ」との念を込めてにこりと微笑む。
しのぶの圧を感じとってか、Aはそれ以降口を開くことはなかった。






お館様の御息女が元柱である鱗滝左近次の手紙を読み上げるまでは。




『お待ち下さい』




抜粋されつつも読み上げられた手紙を聞いた直後、Aは制止の声を上げる。


『その内容には納得がいきません。私も竈門炭治郎及び禰豆子の存在を以前から容認し、昨晩も彼らを庇いました。それに「A」』


Aの言葉を遮ったのは、彼女の兄弟子である義勇だった。


「俺は昨日、余計な口出しをするなと言った」

『……“好きにしろ”とも言ってた。お館様、その署名の中に私の名前も───』



またしても、Aの言葉は最後まで続かなかった。




が、それは言葉を遮られたわけではなく。









「少し大人しくしていろ」









冨岡義勇に手刀を喰らわせられ気絶した為であった。




流石に義勇のこの行動には柱の面々も目を丸くしていたが、当の本人はどこ吹く風で「蝶屋敷まで頼む」と隠にAを預け、何事もないかの様に「手紙の内容に異論はありません」と言い放った。

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