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episode 28 ページ30




昔、誰かが云っていた


楽しい時間というものは、あっという間に過ぎてしまうものだと。

そして退屈な…嫌だと、自分が拒絶を感じる時間はとてつもなく、長く感じるものだと。



ふと、その言葉を思い出したのはきっと今の状況のせいだ。




目の前に居るのは、私が2番目に嫌う人物。




「やぁ、また会ったね」

『可笑しいですね、樋口さんには次の列車が来るまでは足止めをしろと、伝えたはずなんですけど』


ボロボロの人形片手に此方に声をかけてくる其の人の目は、恐ろしく冷え切っていて。
それが、余りにも数年前までは毎日のように見ていたものだったので。
其の人が、まだ此方側に居た時のことを、不覚にも懐かしいと感じた。


「君は、自分が何をしたかわかっているのかい?」

感情を無にしたような、でもほんの少し怒りが混じったような。そんな口調で問いかけてくる

『…私は何もしてません』

Qを座敷牢から出したのは首領で、人虎君を此処へ連れてきたのも事務員を列車に乗るよう指示したのも其方(探偵社)


だから Qが異能を発動させようが、そのせいで人虎君が幻覚と幻聴に襲われ探偵社の事務員を傷つけようが私には何も関係がない。

視線を太宰さんから反らせば、異能が解かれ己の状況に呆然としている人虎君とその人虎君に危害を加えられた事務員達が視界に入った


『ごめんなさい、これが私に与えられた任務なので。……でも、皆さんもこれくらいは覚悟の上でしょう?』

視線を上げた人虎君と目が合ったのでニコリと微笑んでみたが、彼は絶望の表情を浮かべただけであった。
嗚呼、彼にとって私は“少し変わった親切な命の恩人”。ある種、彼を裏切ってしまったわけだ



ホームに鐘の音が響き 列車がまもなく発車することを伝える


「Aさん、早く〜」

先に列車に乗り込んでいたQが催促してくるので 探偵社一同に一礼してから列車へと乗り込む


「…また(・・)組織の駒に成り下がるつもりかい?君は──」

背中にかけられた声には聞こえないフリをした



Qが手を引いて座席へと誘導するので大人しくそれに従う。


彼が此方側に戻ってくることを拒否することは想定内だった。
別に期待していたわけではないし最初からわかっていた。そもそも私は彼が嫌いなのだ。対立組織に属しているのが丁度いい。拒まれるくらいが正しい距離。わかっている。



けど──


『先刻の言葉は少し、堪えたかな…』

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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時

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