鬼が出るか蛇が出るか (ページ2)

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02.珈琲と太陽ページ2

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キラキラと太陽の光を吸い込んだ
ステンドグラスでできた窓は

カウンターの上の小瓶に飾られた小さな白い花を、澄んだ青色に染めた。

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昼下がり。
お店には、珈琲の香ばしい香りが広がっている。

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雅「いい部屋見つかった？」

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背の高い椅子に軽く座った相葉さんが、

隣の私を覗き込む様に言ってそっと微笑んだ。

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私より2つしか歳は変わらない相葉さんは
ここのカフェのオーナーさん。

新入社員として入社した前職を辞めた後、

やりたい事が特になかった私は、
友達の知り合いと紹介された相葉さんの元でお世話になることになった。

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雅「昨日。家探しに行ったんでしょ？」

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翔は、仕事帰りによく

このカフェに顔を出してくれた。

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私の仕事が終わるまで待っててくれて、
「このまま一緒に帰ろ」って私に微笑みながら、

相葉さんの淹れたこだわりの珈琲を
美味しそうに口に含む翔の姿が

今でも鮮明に、思い出せるんだ。

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相葉さんは、翔が命を絶ったことを知っている。

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あの大野さんの電話を取ったのは
仕事の休憩中で。

大野さんの話を聞くなり、気が抜けるように呆然と座り込んだ私を

ずっと隣で宥めてていてくれてたのが相葉さんだった。

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「良さそうなところありましたよ。一応、そこにしようかなぁって思います」

雅「自分の事なのになんか他人事じゃん」

彼は私を見てクシャッと笑う。

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言われた通り。
昨日行った内見は、いいなとは思っても、どこもパッと来なくて。

自分のことなのに、どこか人の家を探しているみたいで

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隣に翔がいた温もりを、

翔と過ごしたあの部屋を、日々を

今でもまだ、どこかで探してしまっている。

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前を向くつもりで不動産に行ったのに

翔の面影ばかりを求めてしまう自分に呆れてため息をついた。

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そんな私を近くでずっと見てくれているからだろうか。

相葉さんは、私が堕ちていかないように

深く、沈んでいかないように

ずっと私を、笑わせてくれいるようだった。

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