事件25件目 ページ26
その日からというもの
事件が連続してるという事で帰ってくるのが遅くなっているマサ
家に帰ってきたと思ったら上司の榎本さんと一緒に家にやってきた
榎本「おい神谷、こんな美人な奥さん居たんなら言えよ」
神谷「彼女です」
ジロジロと見定めするように上から下に目線を移動させる
なんだか嫌な人だな
この人苦手だ
神谷「ごめん。来るって聞かなくて」
「大丈夫」
榎本「彼女さん、いつ神谷と結婚するんですか〜？」
「え、っと」
そう困っているとマサが私を寝室に入れた
俺が連れてきたんだからAに迷惑なんかかけられないよって言って
先寝ててってドアを閉められる
ありがとうなんて面を向かって言ったけど
いつも寝室には寝るときも起きるときもマサが一緒だったのに
ちょっと
いやちょっとどころじゃないくらい
寂しいなって
「マサ」
ギャハハとうるさい訪問者の相手をしている彼には届かない
寝室の空間にスッと私のつぶやきは溶けていった
「ごめん、長引いた」
彼女がいるであろう寝室を開ける
彼女は布団もかけずに横向きになってスウスウと寝息を立てていた
寝顔がすごい幼くて
思わずスマホで写真を撮ったなんて
彼女には口が裂けても言えない
ああ
可愛い
好きだな
そんな感情が自分を支配している
でも
自分がした刑事としてしてはいけない事を知ったら
彼女は自分から離れていく気がして
なんであの時あんな事してしまったのだろう
そう思うと胸が苦しくなった
「A...」
A「ん...」
返事をしたかと思った
ただの寝言だったみたいだ
俺が名前を呼んだら微笑んでいるようで
寝言だとわかっていたが
俺の名前を呼んだ時
とんでもなく
顔が緩んだ
ああ
Aが寝ていて良かった
こんなゆるゆるな表情なんか見せたくない
こんなにも愛おしい彼女だけど
離れるのならそれでもいい
こんなダメな刑事の俺なんかと一緒にいるくらいだったら
あのマンションの住民の手塚夫婦の様に必ず幸せにしてくれる人が彼女には必ずいる
それが俺であってほしいと願ったけど
彼女に話さなくては
あの事を
スルリと掴んだ手をギュッと起こさない様に握りしめた
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