Episode50 【Yuta.K side】 ページ50
「岸くん、どうしたの？」
「あぁ…これ。紫耀に渡しておいてくれる？」
「これ…今日の資料？」
「そう。あいつ会議室に忘れて行ったみたいなんだ。他の仕事の資料も一緒に」
「そっか。岸くんが届けてくれて助かったよ。もう本当におっちょこちょいなんだから。そうそう！この間ね、朝寝ぼけて歯磨き粉で顔洗おうとしたんだよ。朝から大騒ぎだったんだから」
「へぇ…そう、なんだ」
「あ…こんな話、別に聞きたくないよね。ごめん」
空気を察してか、とっさにAさんが謝った。
「別に謝ることなんかないよ。あ、そうそう！その写真、よく撮れてるね」
「写真？」
Aさんは何のことだか分らないという顔で聞き返す。
「ほら、その一番下のファイルに挟まってる」
俺の言葉に従い、Aさんはファイルを開いて中から２枚の写真を取り出した。
「･･････！これ…」
まるで雷に打たれたかのように、その顔は驚きと衝撃に包まれた。
「２人ともすごくいい表情してるよ」
「ち、違うの！これは、この間の撮影の時にね、相手のモデルさんが具合悪くなっちゃって、それでカメラマンさんがどうしてもテストでモデル役やってくれって言うから仕方なくやっただけで･･･」
Aさんは必死にまくしたてる。
「そうだったんだ。きっとプロの人が撮った写真だろうなとは思ってたよ。でも…」
「何？」
「この写真のAさん、“恋してる”って顔してる」
ついポロリと言葉がこぼれた。
彼女と俺の間に、気まずい沈黙が流れる。
「そ･･･そうかな…だとしたら、私マネージャー辞めて女優さんにでもなろうかな。ハハ。なんてね…冗談冗談」
必死になって笑顔を作るAさんを見ながら、俺も笑顔を作る。
「女優さんもいいけど、そしたら今までみたいに逢えなくなるから、やっぱり俺はマネージャーのままがいいな」
「そ、そうだね」
俺たちはぎこちない笑顔を交わしてその場を後にした。
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《作者より》
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お話はもう少し続きますので、“ずっとそばで…【SHO.HIRANO】#２も宜しくお願いします!!
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さや(プロフ) - chihiropooh1123さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！ 頑張って続き書きます！！ (2018年6月11日 0時) (
レス) id: d50237b6e9 (このIDを非表示/違反報告)
chihiropooh1123(プロフ) - 凄く楽しませて貰ってます。次回話楽しみにしてます。 (2018年6月10日 15時) (レス) id: 016550d6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SaYaKa | 作成日時：2018年6月2日 2時
