Episode27 【SHO side】 ページ27
暗闇の中で静かに目を開ける。
頭にまだAさんの手のぬくもりが残っているようだ。
気づいたときには俺はいつの間にか部屋のソファーに寝かされていた。
遠くから男女の声が聞こえる。
よく耳を澄ますと、その声は岸くんとAさんだった。
その内容は聞こえないけれど、２人がとても楽しそうなのだけは分かる。
(何だよ･･･俺のことなんて眼中にないってことかよ･･･)
俺は２人を見たくなくてまた目を閉じた。
翌朝。
「おはよう」
「あ、おはよう！昨日はずいぶん酔っぱらってたみたいね」
「あぁ･･･うん」
「ちゃんと岸くんにお礼言わないとダメよ！わざわざうちまで送ってくれたんだから」
「岸くんには話したの？俺がここにいるってこと」
「うん。次のマンションが決まるまでいるってこと話した。他の人には言わないでおくって言ってくれたよ。やっぱり岸くんは優しいよね〜」
Aさんは朝食の支度をしながら、嬉しそうにそう言った。
「へぇ〜」
(岸くんは物分かりがよくて優しい大人ってことか)
どうしてもAさんの口から岸くんの名前が出ると、卑屈にとらえてしまう。
「岸くん、昨日はありがと」
打ち合わせの合間、俺は1人資料に目を通している岸くんに近づき声をかけた。
「あぁ紫耀。全然いいよ。気にすんな。それにしても驚いたな。お前とAさんが一緒に住んでたなんて」
「まぁ、ほんのしばらくの間だし。Aさんが言ってたよ。“誰にも言わないって約束してくれて、岸くんは優しい”って」
「マジ？そっか」
嬉しそうな表情の後、岸くんはふと真剣なまなざしになり俺に向き直った。
「なぁ紫耀」
「ん？」
「お前、本当にAさんと付き合ってないんだよな？」
「え？あぁ･･･そんな関係じゃないよ」
「そうか。良かった」
「岸くん…もしかしてAさんのこと･･･」
嫌な予感が胸をかすめる。
「あぁ。好きだ」
その目は真剣そのもので、何の迷いもない。
「俺、頑張ってみるわ」
そう言う岸くんに、俺はただ曖昧に笑うことしかできなかった。
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さや(プロフ) - chihiropooh1123さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！ 頑張って続き書きます！！ (2018年6月11日 0時) (
レス) id: d50237b6e9 (このIDを非表示/違反報告)
chihiropooh1123(プロフ) - 凄く楽しませて貰ってます。次回話楽しみにしてます。 (2018年6月10日 15時) (レス) id: 016550d6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SaYaKa | 作成日時：2018年6月2日 2時
