検索窓
今日:20 hit、昨日:61 hit、合計:415,481 hit

. ページ43

.





______くろねこさんだ。





お嬢は脳裏で呟いた。
夜も更けて、お嬢は布団の中。今夜は渡辺も宮舘も襖の裏に控えている。





______どこに行くの?まって、



赤と青の瞳をした不思議な黒猫はしっぽを揺らして、歩みを進める。この子にお嬢が見えてるのか見えてないのか分からないくらい、気ままなスピードで。





突然、眩しい光が差して、お嬢は思わず目を瞑った。






光にやられてしまった目を渋々と開けば、そこは見慣れぬ景色。夢の中だからだろうか、辺りの線は明確でなく、どこかの家のリビングということだけはっきり分かる。





______ねこさんは、




「猫さん?家ん中にはいねぇよ?」




爽やかで少し高いアノ声。




______「しょうた?」




「そうだけど?え、寝ぼけてんの?」


「そんな言い方ないでしょ、翔太。まだ小さいんだから」



気品があって、重厚感たっぷりの声。




「だて、」



「おはよう、Aちゃん。どうしたのかな?」




お嬢はひどく困惑した。
アノ黒猫がいたのだから、ここは夢だとわかっている。わかっているが、ここまで鮮明な夢を見たのは初めてだ。




二人の姿かたちは変わらないのに、自分への対応が今とまるで違う。






だては、「Aちゃん」なんて絶対呼ばないのに。







「だて、ここどこ?」




「ん?…ここはAちゃんのお家だよ」


「Aのお家、?」




呆然と、オウムのように宮舘の言葉を繰り返す。
お嬢の家はただひとつ、岩本が所有するあの屋敷だけだ。



この部屋は住民が掃除を放棄しすぎている。
置かれた上等そうなピアノもホコリを被っているし、コンビニ食は食べ散らかされ、衣服は積まれている。





お嬢よりも背の高い机の上に、明らかに人の手でゴミを、そこの部分だけくっきりと避けたところがある。

そのうえに、一冊、




「おい、Aさっきから大丈夫か?」


サラサラとした茶色の髪が目の前で揺れた。
青薔薇の咲いている方の腕で、お嬢の頬に触れて顔色を見る。





「わっ、」





「熱ねぇな」

「急に触ったらびっくりするよ」

「わり」


悪気が無さそうに渡辺は謝った。




「翔太、Aちゃんは『9歳』の女の子。優しく丁寧にって照が俺らに任せたんだから」





きゅうさい、?


だて、Aは12歳だよ、あれ?




.

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (480 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1664人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 渡辺翔太 , 宮舘涼太
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます!これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります! (2023年1月2日 23時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます!励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています!!百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります!無理せず更新頑張って下さい! (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます!マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2022年11月30日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。