浮き足立った夏休み ページ1
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「何を熱心に書いてるの？A」
鈴のように可憐で、それでいて艶やかな色気のある声。
熱心に羽根ペンを動かし、羊皮紙に向き合う愛弟子に対して問いかけた。
「っ！、フィガロ！びっくりした、」
肩を震わせ、想像以上の反応を見せたため、フィガロの方が目をパチクリとさせずにはいられなかった。
「うふふ、ごめんなさいね。お手紙？」
「そう、」
ジトっと蒼い瞳で軽く睨みながら返事。
「誰宛て？」
「……」
「あら？」
言おうか言わまいか葛藤しているAにフィガロはそれとなく察した。
「あらまぁまぁ、貴方もお年頃なのねぇ」
「え、別にそういうのじゃ」
狼狽えるAを他所に、深海をそのまま写し取ったような深い藍色の上品なワンピースを翻して、フィガロは楽しそうだ。
「つい、この間までおチビちゃんなんて呼んでたのに」
ケラケラと笑う。
この笑い方はどことなくシリウスを彷彿とさせる。
「おチビちゃんじゃない」
「そうね、A。
あなた、今年こそ夏休みは出かけなくていいの？」
外では燦々と太陽が照りつけている。
この暑さの中、出ていく勇気はなかったが、それ以上にAは出かけないひとつの理由があった。
_________フィガロだ。
毎年フィガロと過ごす時間は極わずか。
貴重なその時間をホグワーツでも会える友人たちとの時間に使うのは少し、惜しかった。
「…いいの」
いつものようなキレがない返答に、フィガロはすぐに気づく。
「……その様子じゃ誘われたんじゃないの？どこかに行かないかって。その、意中の相手に？」
「べ、別に」
こう見えてAはフィガロの前だととてつもなく分かりやすい。これは級友たちが誰も知らないことである。
「行きなさいよ、私との時間も大切。だけど、お友達といつ会えなくなるか分からないでしょう？学生時代は一瞬なのよ」
「いつでも会える」
端的に答えたAに、頑固ね、と溜息をひとつ。
その様子を見ていたイアンは仕方ないさ、と喉を鳴らす。
「平穏に見えても魔法戦争の最中。卒業したら会えなくなる人が出てくるかもしれない、そうでしょう？」
「フィガロが大事」
そっぽ向いたのをいいことに、フィガロは書きかけの手紙の内容を盗み見る。
「R.ルーピン。Mr.ルーピンって素敵な名前ね」
「フィガロ！！！」
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ぽれ(プロフ) - 本当に面白い…この先がとても楽しみでどの作品よりもドキドキして待ちわびています。 (4月5日 20時) (
レス) id: aeee7d47d3 (このIDを非表示/違反報告)
キイ(プロフ) - シリウス小説で1番好きです！どきどきさせてもらってます！ (4月4日 19時) (レス) id: 8d47f131bf (このIDを非表示/違反報告)
岡Ｐ(プロフ) - お話とても面白かったです。この先どうなるのか更新楽しみにしています。 (2月15日 2時) (レス) @page26 id: e3d27a2b53 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - あああああああああめちゃくちゃ好きですゥゥゥゥゥゥゥゥゥ (1月26日 22時) (レス) @page20 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
Haru?(プロフ) - 更新されてて嬉しかったです！またまた続きが気になるところで終わってドキドキしてます！また待ってます💕 (6月14日 1時) (レス) @page19 id: 6e878ecb67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2022年11月14日 22時
