雨と魔女、そして始まりの日 ページ2
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空から降る雨。
その雨粒に人差し指でそっと触れれば、雨粒は揺れて姿を変え、蝶のように少女の周りを飛ぶ。
傘は差さず、少女は独り。
家に居てもつまらない。
両親の前では魔法を使えないし、緊張してヘマするだけ。
Aももうすぐ学校に行く歳になる。
姉のクロエが行っているような普通の学校。
魔法を習える学校があったのなら、彼女はきっと苦労もしない。一日中退屈しないし、無我夢中で本を読み漁る。
でも、
そんなところはきっと、
だから一生Aは魔女なんて素敵なものじゃなくて、他とは違う変人で、ただの気持ち悪いの人。
変な術が使える穢れた人。
いつかこの力で人を傷つけるかもしれないと、家族にさえ煙たがれるような人。
誰にもそんなこと思われないように、
何より、他人の言葉で自分が傷つかないように、
「もっと普通に、丁寧に、」
「あらあら、こんなところで何をしているのかしら？ 風邪引きますよ、小さき魔女」
不意に、隣に現れた黒装束の女性。
黒のこうもり傘に、足首あたりまで裾の広がった、貴族が着ていそうな黒いドレス、編み上げの黒いブーツ。
後ろで丁寧に束ねられた黒髪に数羽の青い蝶が止まっているかのように見えた。が、それは髪飾りであったようで、魔法で羽がゆったりと動いているようだった。
「だれ……」
突然現れた彼女にそう聞くことしか出来なかった。
「随分と難しい質問するのね。
うーーん、おチビちゃんと同じ、と言えば伝わるかしらね？」
「ま、じょなの……？」
全身を黒で覆われた彼女は、絵本に出てくるようなミステリアスで神秘的な美しい魔女だった。
「そうよ」
鈴を転がすような声で淡々と答える。
「でも、私は魔女じゃない」
数度瞬きを繰り返し、赤い唇を再び開いた。
「何故、そう思うのか伺っても…？」
身体を縮めて、少女の顔を覗き込む。今まで見えなかった彼女の瞳が顕になる。
透き通った灰色の瞳、全てを呑み込んでしまうような不思議な力があるように感じた。
「……わたしだけ、おかしいの。両親も、クロエも普通なのに、わたしだけ変なの。周りにもわたしみたいな人いないし……」
それを聞くと目を丸くし、クスクス笑いながら
「それは貴方が世界を知らないからよ」
と、一言言った。
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霞(プロフ) - raitisayaseさん» 遅くなりました💦コメントありがとうございます！嬉しいです、カメさんですが頑張ります！！ (2022年9月20日 21時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
raitisayase(プロフ) - 続が楽しみです！頑張って下さい。 (2021年12月4日 21時) (レス) @page34 id: 9634a3802d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2021年1月10日 13時
