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十八夜 ページ19

「…快斗、今回も色々とありがとう。本当に助かったわ」


「…あ、あぁ。お前は大丈夫かよ、ずっと顔色良くなかったじゃねぇか」

心配して、見ていてくれたの…?
本当に、この人は……


何だか、考え込んでいたのが馬鹿みたいね…
実の人がこんな感じなんだもの。

彼にそういう人が出来る迄、迷惑掛けまくってやろうじゃない!


心からの笑みが零れる。

「ありがとう、快斗」


「…っ、」


頬を染めて、短く返事する彼。
そして、


「おう、その顔が見たかった」


そう言って眩しい程の笑みを向けてくる彼。
不覚にも私の心臓は早鐘を打って…


「…もう、馬鹿ね貴方は…」


私より幾分か背の高い彼の首に手を回し、耳元で囁く。


「心配してくれて、ありがとう」


「あぁ、あんまり心配かけさせんなよ」


彼も私の背中に手を回してくれて、少しの間抱き合ってから離れた。

後ろから召使いの急かす声が聞こえる。


その声を無視して、彼の真っ青な瞳を見つめる。


「また、今度ね」


「あぁ、また逢いに行く」


彼の長い指がそっと方頬に触れ、そのまま反対の頬へ口付けられる。



そして、こちらへひらりと手を振って背を向けて歩いて行ってしまった。

____________


何だか最近、彼との距離が縮んでいる気がする。


彼はなんの躊躇いもなく私を抱き締めたり、手にキスをしたり、この前なんて頬に……


「どうして、頬なんかに…」


あの時の事をふと思い出して、どきんと鼓動が高鳴る。

キスをされた頬に手をやり、そっと撫でる。


「…っ、まあ良いわ!早く課題を終わらせないと!」


大きく首を振って煩悩を追い出す。

あのキザな怪盗がすることよ、意味があるわけないじゃない!



彼の顔を見るだけで嬉しいとか、そんなの思う訳ないじゃない!キス一つにこんなに翻弄されていては女の恥よ!


「…そう言えば、最近姿見せないわね…快斗」



逢いに行くと言われたのに、
逢えないから寂しいとかじゃ無いから…!

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シアん。 - 軽く23回咳き込んだに見えてしまった (8月19日 8時) (レス) @page8 id: 2170ff9ae1 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - この小説私得だ…めっちゃ好きー。言葉に表せないくらい好きです!これからもがんばってください! (2019年11月3日 22時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - チイナさん» 私の拙い文章にそこまで言ってくださって本当にありがとうございます…!チイナさんのお言葉に感動して涙が出ました…そこまで私の作品を楽しんで下さりありがとうございました!感謝でいっぱいです! (2019年7月24日 19時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
チイナ(プロフ) - 完結おめでとうございます。いつも更新されるのを楽しみにしていました。更新されて、すべて読み終わったときに、いつも評価を押してしまうんです。何回も何回も押しました。自分でも笑えてきます。とても良い作品でした。改めて、完結おめでとうございます。 (2019年7月20日 20時) (レス) id: f759a37db1 (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» そう言って頂いて凄く嬉しいです!ありがとうございます!これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2019年6月16日 13時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年4月15日 7時

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