叶わない58 ページ26
パニックに陥っていた私の頭は、お昼ご飯を食べたら元通りに復活した。
さっきの件は凄く驚いた。まさか、キヨ兄があんなことするなんて思ってもみなかったから。
妹みたいに思われてるからかな、なんて考えようとしたけど辛くて胸が痛くなったからやめた。
でも、なんで私に付き合ってくれたんだろ。
忙しそうだったのに。と、目の前で豪快に口を開けてパスタを頬張っているキヨ兄を見て思う。
……これは、かわいい。
良いよね、男の人が口いっぱいにご飯詰め込んでるの。
キヨ兄は余計顔も良いもんだから、私の心臓はさっきから鳴りっぱなしで、食事も喉を通ってくれない。
すれば私の目線に気付いたのか、キヨ兄がん?と目線だけ上げて私を見る。…そして、唇に付いたミートソースを舌で上手に舐める。
『……っ、』
もう、無理。この人見続けるの、こんなに辛いなんて。
そしてこんなになってる私をお構い無しにくすっと笑って、
キヨ 「ん、お前も食べる?」
なんて聞いてくるキヨ兄。
顔が無意識に緩むのと赤くなるのを頑張って堪えて、あーと口を開ける私。
そんな私を見たキヨ兄はけたけたと楽しそうに笑って、フォークを動かし始めた。
ここで私の頭の中が急に冷静になる。
あ、待って私、選択間違えた……?
なんでキヨ兄、皿寄越さないの?待ってこの流れは……
キヨ 「ん、ほら。食わねぇの?」
私が予想したとおり、キヨ兄はパスタが絡まったフォークを私の方へ向けていて。
……これは予想以上に恥ずかしい。そう思って、
『フォークちょうだい』
と、キヨ兄からフォークを奪う選択をした……が。
キヨ 「は?だめ。面白ぇから俺が食わせんの」
からかってる時の笑顔でもない、純粋に楽しそうな笑顔にやられて、もうどうなっても知らないと口を開けた。
『…あ、』
キヨ 「あ、」
キヨ兄から所謂あーんをして食べさせてもらう。
やっぱりパスタは食べ方難しいなぁと思いながら、口の端に付いたミートソースを舌と指を使って舐め、最後に紙ナプキンで拭く。
キヨ 「どう、美味いだろ」
『うん、美味しかった!ありがとう』
正直味わかんなかったけど、と思いながらそう言ってキヨ兄を見ると、やっぱり楽しそうにしてたから良かったと思う。
何だか恋人みたいと思って、恥ずかしくなるのと同時に欲深くなったなとため息をついた。
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蘇澳(プロフ) - りぃ@l」ω=さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても励みになりました^^*更新頑張りますのでこれからも末永くよろしくお願いします! (2020年3月2日 21時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ@l」ω=(プロフ) - 一気に読ませていただきました!すっごく面白いですー!キヨさんのこと、もっと好きになっちゃった…笑これからも投稿楽しみにしてますね!早く続き読みたいー (2020年3月2日 21時) (レス) id: b3c6beb7e3 (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - しまちゃんさん» コメントありがとうございます!いつも皆さんに楽しんでもらえているか心配だったので良かったです!更新は変わらず遅いかと思いますが定期的に行うようにしますので、これからもよろしくお願いします!いつも読んでいただいてありがとうございます! (2020年2月29日 22時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
しまちゃん(プロフ) - 初めて感想失礼します!楽しく読ませて頂いてます!次どんな展開になるのか楽しみで毎度読むのにワクワクしてます!待ち遠しくて最初から何回か読み返したりしました、、!ご無理のないよう、素敵な小説更新するの楽しみにしてます! (2020年2月29日 20時) (レス) id: d2a5bc168d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2020年2月13日 20時