親戚の子 ―2―

叶わない54 ページ20

その後は、色んなことを思い出しちゃってあんまり寝付けなかった。


……そっか、キヨ兄、彼女いないんだ。


『…ふ、ふふ』


自分でも気持ち悪い笑みが溢れてしまうけど、許して欲しい。本当に嬉しいんだもん。


キヨ兄に彼女居ないってことは……好きでていてもいいってことだよね？諦めなくていいってことだよね？


そんな事をずっと考えて、きゃー！なんか言っちゃって、眠れない私だった。


______


「Aちゃん久し振り〜」


夕方になって親戚の方々が集まって来た。
明るい声で私に話し掛けてくれたのはキヨ兄のお母さん。


『わ、おばさん！こんばんは！』


それからは私とお母さんとおばさんの三人で、るんるんと夕飯の支度をし始めた。



そんでキヨ兄はと言うと、あのちびっこ達の御相手をしている。さっきから楽しそうな声がたくさん聞こえる。


ちょっと良いなぁなんて思いながら。


そして、お母さんに聞きたかったことをふわっと思い出した。


『……そうだ、お母さん。キヨ兄さ、彼女居ないって言ってたんだけど』


お母さんを見ないで煮物の具を切っていると、お母さんがあら、と軽い感じで言った。


母 「キヨくん母がそれっぽいこと言ってたんだもの。可愛い可愛いって言ってる子がいるのよって」


…んー、確かにそれっぽい。しかも凄く気になる。


そしてここでおばさんが話に混ざってきた。


おばさん 「ふふふっ、典ちゃん、あれ彼女だと思ってたの？…ふふ、違うわよ〜！あれね、Aちゃんのこと言ってたの〜」


おばさんのその声にお母さんが、えっと驚きながら笑った。私は一人で置いてかれてて、ハテナがたくさん浮かんでる。


母 「へぇ〜。まぁキヨくんって小さい子好きだしね〜、Aの事も妹みたいに思ってるんじゃないかな」


おばさん 「ふふ、でもあの可愛がり用は半端じゃなかったよ〜」


『えー？何の話…？』


するとそこへ、長身のあの人が入ってきた。


おばさん 「あ、本人来た」


母 「あら、本当」


キヨ 「…？」


おばさん 「あんたが私に電話掛けてきたときの話してるの」


おばさんがキヨ兄を見ながらそう言うと、キヨ兄がはっ？と大きな反応を見せて、慌てた。


母 「そう、その話を私が勘違いしてキヨくんに彼女がいると思ってたのよ〜それでAに部屋を出させた訳」


え〜！と、三人だけ盛り上がって、何の話か分からない私でした。

叶わない55→←叶わない53

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す