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可愛い妹14 ページ14

宅配か何かだと思って開けたドアの先には、苦しそうに泣いてるAが居た。


慌てて名前を呼ぶと、余計に泣いたから当たり前だけど放っとけなくて、Aの手を引いて玄関に入れた。


何でこんなに泣いてんだと内心慌てていると、Aも理由を言おうとしゃくり上げながら喋ろうとするもんだから、思い切ってその華奢な体を抱き締める。


『よしよし、落ち着いたら聞くからな』

と言って、背中を叩いてやる。

そうすれば、Aが顔を歪めて俺の首に手を回すもんだから、鼓動がでかい音を立てる。


『……っ、馬鹿』


男煽るようなことすんじゃねぇよ…

でもこいつ今平常じゃねえしな、と頭の中の煩悩を払い、泣き止まない無防備な想い人をあやし続けた。


_________


A 「…っ、ふ、ありがとう。落ち着いた…」


Aがそう言って顔を上げると、俺の肩のとこが涙で濡れていた。

あんまりAと居たくねぇんだけど、と思いつつ仕方なく水を汲み、ソファに座らせると片方の頬が変に赤いのに気付く。


す、とその頬をなぞるとAが悲しそうに笑った。


A 「…殴られた。最近仲良くしてた男の子居て、その子に告白されて__」


はぁ?殴った?このAを?


『…は?お前を引っぱたいたって事か?…誰だそれ、教えろ』


俺がブチ切れていると、Aが慌てて俺を宥めた。


A 「も、もう大丈夫だよ…!大嫌いって言って来たし…」


『…ぶん殴ってやれば良かったのによ…』


俺がそう言ってやると、Aがくす、と笑う。

これだから。これだからお前と居たくねぇんだ。

お前を諦めなきゃなんねぇっつうのに、諦められなくなんだろ…


『…じゃ、落ち着いたら気を付けて帰れよ』


Aに背を向けてそう言い捨てると、Aは最後にありがとうとだけ言うと、帰って行った。


深く吐いたため息が、静かな部屋に響いた。

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蘇澳(プロフ) - りぃ@l」ω=さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても励みになりました^^*更新頑張りますのでこれからも末永くよろしくお願いします! (2020年3月2日 21時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ@l」ω=(プロフ) - 一気に読ませていただきました!すっごく面白いですー!キヨさんのこと、もっと好きになっちゃった…笑これからも投稿楽しみにしてますね!早く続き読みたいー (2020年3月2日 21時) (レス) id: b3c6beb7e3 (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - しまちゃんさん» コメントありがとうございます!いつも皆さんに楽しんでもらえているか心配だったので良かったです!更新は変わらず遅いかと思いますが定期的に行うようにしますので、これからもよろしくお願いします!いつも読んでいただいてありがとうございます! (2020年2月29日 22時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
しまちゃん(プロフ) - 初めて感想失礼します!楽しく読ませて頂いてます!次どんな展開になるのか楽しみで毎度読むのにワクワクしてます!待ち遠しくて最初から何回か読み返したりしました、、!ご無理のないよう、素敵な小説更新するの楽しみにしてます! (2020年2月29日 20時) (レス) id: d2a5bc168d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2020年2月13日 20時

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