親戚の子 ―2―

叶わない40 ページ2

『てか、打ち上げ出なかったの？キヨ兄主役じゃん』


キヨ 「…ん？お前がさっさと出てくから、追いかけちまったんだよ」


んもー……！そういうこと、さらっと言わないでよ……

頬を両手で挟んで熱を取っていると、キヨ兄が私の方を見て何やらにやにやしている。


『…ん、…なに？』


キヨ 「いやー、お前、元気無かっただろ？」


誰のせいだと思ってんですか。
最近私が元気無いのは、半分キヨ兄のせいです。


はぁ……キヨ兄の彼女ってどんな人なんだろ。

この目で見れたらきっぱり諦められそうなんだけどな。
美人だと良いな、あと料理が上手な人だと良いな……適わないって、思えるから。



キヨ 「…二人で、打ち上げするか。A」


不意に右隣からそんな声が聞こえる。
…そういえば、さりげなく車道側歩いてくれてる。

鳴って欲しくない鼓動がどんどん大きくなる。


『……良いの？私と行くより、戻ってうっしーさんたちと飲んだ方が楽しいんじゃない…？』


あぁー、なんでこんなひねくれたこと言っちゃうかなぁ…
素直に、ありがとうって言えば可愛げあるのに……。


彼女持ちのくせに。


……なんか最近こればっかり言ってる気がする。嫌な自分。


キヨ 「行きたいって顔に書いてあんのに？」


顔をはっと上げると、またにやにやと笑っているキヨ兄と目が合う。


『…っ、そんなこと思ってない！』


キヨ 「ほんとに？」


……もう、この人にも適わないんだから。


_______


『……はぁ、楽しかったなぁ。あんなに楽しいんだねイベントって』


キヨ 「そっか、お前初めてなんだっけ」


結局お店に行くのも面倒だったので、私の家で打ち上げをしてる。この部屋の来客者がキヨ兄が初めてだったから少し嬉しい。


『そうなの、初めて。……でも、キヨ兄たちと一緒だったからかも。凄く楽しかったのは』


ほんとにずっと笑ってたもん。お腹痛くなったし。


キヨ 「楽しかったなら良かったよ。…でもお前もでかくなったんだなって、お前が歌ってるとこ見て思った。なんか、いつも見てるお前じゃないみたい」


飲み物片手にぼうっとした目で私を見つめるキヨ兄。


『私も、動画で見るキヨ兄は手が届かない存在だと思ってたよ。……最近は普通のキヨ兄もそうだけど』


最後の言葉はぼそっと呟く。

すれば、キヨ兄は何か不機嫌そうな顔になり、低い声で私の名前を呼んだ。


キヨ 「なぁA、最近俺に隠し事してんだろ」

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