叶わない35 ページ44
『ふぅ……これでまぁ、なんとかなるかな…』
薬局へ走り、冷えピタやその他必要なものを買った。
そして急いで帰り、キヨ兄の処置をした。
ふうふうと忙しなく息を吐いているキヨ兄が苦しそうで、見ているこっちまで苦しくなる。
いつの間にかベッドに移動していたキヨ兄をずっと見ていると、布団がもぞりと動き、白い手が伸びてきた。
キヨ 「…さ、み…」
寒い、とそう呟いたと思うと、そんな力どこから？と言わんばかりの力で布団の中へ引き摺り込まれた。
『…わっ！…キヨ兄！』
キヨ 「…A…」
耳元でそう囁かれた瞬間、体がぶわりと熱くなる。
『…っ！』
後ろから抱きしめられているこの状況を、何とかしたいようなしたくないような、そんなもどかしさと戦っていると、またキヨ兄の声がした。
もしかしたら目が覚めているのかもしれない。
キヨ 「…A…ほんとは、引き止めたかった…お前と、まだ一緒に暮らしたかった…」
ああ、辞めて。そんな弱音を吐かないで。
キヨ兄は狡い。
自分が弱っている時に、そんな言い訳をするなんて。
私はもぞもぞと向きを変えて、キヨ兄の口を手で塞いだ。
『…寝よ。ね？キヨ兄…』
キヨ 「……悪ぃ、変な事言った」
『…ん』
それに彼女持ちがこんなことしちゃ駄目でしょ。
私もやる事やったら彼女さんに託すつもりだし。
キヨ兄に連絡しなって、言わなくちゃ。
私はキヨ兄が腕を離したと同時にベッドから抜け出し、ベッドの中のキヨ兄に話し掛ける。
『…キヨ兄、私もう帰るから、後は女の人に連絡してね』
声が低くなったのは了承して欲しい。
自分の好きな男性にいつの間にか彼女が出来ていたという悲しい気持ちが相まってそうなっているという事を理解して欲しい。
そしたらキヨ兄は、ぼうっとした様子で返事をした。
キヨ 「…あ、？……うん、遠いとこいるから、来れねぇと思うけどな…」
『…ん』
やっぱり、居るんだ。
少し、期待してたとこあったんだけど、そう甘いこと起きるわけないよね。
『…お粥、近いとこに置いとくから。薬と水も持って来とくから絶対飲んでね、あと病院もちゃんと行って』
そして、
『…後…彼女さんに栄養のあるご飯でも、作って貰って』
何で、自分で言って傷付くこと、自分で言ったかなぁ……
そしたらキヨ兄は
キヨ 「…ん、？…あ、あぁ…」
ほんとに自分あほだ。
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蘇澳(プロフ) - けろさん» コメントありがとうございます！とても励みになりました！お目に入れて頂き光栄です！これからも更新がんぱりますので宜しくお願いします^^ (2019年8月30日 16時) (
レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
けろ(プロフ) - 初めまして！毎回更新を楽しみにしています(^^)居候生活編も楽しみに待ってます笑小説書くのは大変だと思いますが応援しています！ (2019年8月30日 12時) (レス) id: 2aaeade905 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘇澳 | 作成日時：2019年8月12日 23時
