占いツクール
検索窓
今日:3 hit、昨日:28 hit、合計:34,876 hit

叶わない33 ページ42

『…っ、キヨ兄…!』

慌ててキヨ兄に駆け寄る。


キヨ兄は冷たい床の上に倒れていた。
私が出ていった時までは健康体だった体が、今は見事に細くなってしまっている。

ベッドの方を向いて倒れているという事は、寝ようとしたってこと。具合が悪い自覚はあったんだ……


動転しながらもキヨ兄の背中へ手を回し、上体を起こすと意識のないキヨ兄の頭は重力に従ってぐったりとする。


このままじゃベッドにも運べないと思った私は、奥から布団を引っ張り出し、キヨ兄の横へ敷いた。


何とか寝かせ、毛布と掛け布団をかける。


『…っ、冷たい…ど、どうしよ…』


さっきキヨ兄の体を触った時も感じたが、キヨ兄の足先や指先は冷たく、焦る。


お湯がいるかもと思って沸かしていたお湯を、カップに少し注いで持っていく。


キヨ兄の綺麗な顔から赤みは感じられず、唇は紫だし、このまま全身が冷たくなってしまったら__と、そこまで考えたが怖くなってやめた。


『…キヨ兄、少し熱いかもしれないけど、飲んで』


私はふうふうと息をふきかけてお湯を冷まし、そしてカップをキヨ兄の口元に近付け傾けた。


こくりこくりとキヨ兄の喉が鳴ったのに安堵すると、げほげほと咳き込んで、目を覚ますキヨ兄。


『……勝手に入ってごめんね』


キヨ 「……A、」


弱々しい声で名を呼ばれ、幾分も細くなった手が私の方へ伸びてくる。

その細い腕を優しく掴む。


『…ご飯、ちゃんとしたもの食べてなかったんでしょ…無理しちゃダメ』


キヨ 「…腹、減んなかったから…」


キヨ兄の舌足らずな話し方に、つきんと心が痛む。
食べれなくなったの、いつからなんだろ…


『…でも、水くらい飲まなくちゃ。脱水と栄養失調だよ』


弱ってるキヨ兄をできるだけ刺激しないように優しい声で話し掛ける。

でも、なんでこんなに……


すると、キヨ兄はこれまた弱々しい声と表情で、


キヨ 「…A、ごめん…。あん時、良かったななんて言って…」


そう言って、私の頬をひとなでした。


あぁ、あの時の事、分かってくれたんだ。
馬鹿。もう、遅いのに、でもこんなに嬉しいなんて。



私はその冷えた手を包んで、キヨ兄の頬に手を添えた。


『ううん、いいよ…キヨ兄、謝ってくれたもん』


そう言うとキヨ兄は軽く笑って、ゆっくりと目を閉じた。

叶わない34→←叶わない32



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
51人がお気に入り
設定キーワード:ky
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

蘇澳(プロフ) - けろさん» コメントありがとうございます!とても励みになりました!お目に入れて頂き光栄です!これからも更新がんぱりますので宜しくお願いします^^ (8月30日 16時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
けろ(プロフ) - 初めまして!毎回更新を楽しみにしています(^^)居候生活編も楽しみに待ってます笑小説書くのは大変だと思いますが応援しています! (8月30日 12時) (レス) id: 2aaeade905 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年8月12日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。