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叶わない28 ページ35

先ず私がとった行動は、親友の倫音に電話をすることだった。
最近お互い忙しくて連絡もとれてなかったけど、案外すぐ電話は繋がった。


倫音 「久し振り!元気にしてた?お兄さんとは上手くいってるか〜?」

倫音の元気な声に少し励まされたけど、うん、と返事をしたら


倫音 「…どうしたの、A」


『倫音……失恋しちゃった……』


失恋、その言葉を口にした瞬間本当にそうなったんだ、と今更実感し直して、ぼろぼろと涙が零れる。


倫音 「A、今すぐうち来て。荷物もなんにも要らないから。最寄まで迎え行くから今から電車乗って」


凛とした倫音の声に、うん、と言葉にならない声で返事をして立ち上がり、駅へ向かった。


__________

心配してくれたのか、たくさん連絡を入れてくれていたキヨ兄へ友達の家に泊まると連絡を入れて、待っていた電車に乗り込む。


数分して、倫音の家の最寄の駅へ着く。

すると、そわそわしてきょろきょろと当たりを見回している倫音が居た。


少ない人と共に出口から出ると、私に気付いて駆け寄ってくる倫音。


倫音 「A……っ!」


ホームでぎゅっと抱き締められ、また鼻の奥がツンとして、涙が溢れる。


『…と、もね…』

倫音 「今日は好きなだけAの話聞く。甘やかしてあげる」


倫音はそう笑って言ってくれ、私もそれに甘えて今夜よろしくねと言った。


失恋して初めて知った世界の味気無さが、倫音のお陰で少しは減ったような気がした。


___________


倫音 「マジか……お母さんから直接言われるとは…」


『うん、中々堪えるよね。何ならお兄から言われたかったわ…』


倫音 「あ、でもさ?Aは、この4ヶ月一緒に暮らしててそんな気配全然無かったから、その事実を知って傷付いてる訳でしょ?」


あ、そうじゃん……
そう、キヨ兄からそんな気配は一切……


『うん、そう…そんな気配、無かったと思うんだけどな…』


でも、実際いるんだもの。


倫音 「諦めろなんて言わないけど、Aがずっと苦しむんだったら諦めた方がいい。家も、出た方がいい」


『……うん、お兄の家にはもう居られない。それは分かってるから今週中には出る。……これからは、夢を追い掛ける』


とにかく倫音を安心させたくて笑顔を作ってそう言うと、倫音は少し悲しそうな顔をして、うんと笑った。

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蘇澳(プロフ) - けろさん» コメントありがとうございます!とても励みになりました!お目に入れて頂き光栄です!これからも更新がんぱりますので宜しくお願いします^^ (2019年8月30日 16時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
けろ(プロフ) - 初めまして!毎回更新を楽しみにしています(^^)居候生活編も楽しみに待ってます笑小説書くのは大変だと思いますが応援しています! (2019年8月30日 12時) (レス) id: 2aaeade905 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年8月12日 23時

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