叶わない26 ページ32
打ち合わせは普通に終わり、歌い手部門の顔合わせも終わった。勿論顔がバレるとあれなのでマスクを付けて。
今は家に帰ってごろごろしております。
キヨ 「あんま寝てんじゃねーぞ」
『んー……』
ソファに寝転がっていた状態から座る状態にする。
そして、疲れたー、と大きな欠伸を一つ。
それを見たキヨ兄が、ふと私の頭に手を伸ばして
キヨ 「疲れてんなら、外で食うか？」
と言った。
『…ん。…でも、いいの？騒がれない？』
キヨ 「…あ？…まぁ。気にすんな」
『よーし！すぐ準備する！』
キヨ 「元気かよ、」
ふ、と音もなく笑ったキヨ兄を横目に自室に入る。
『…あぁ！もう、心臓に悪い……』
胸に手を当てて深呼吸してから、着替えをして、部屋を出た。
顔赤いの、直していかなきゃ。
_________
キヨ 「お前は何食いたいの」
『んー、お蕎麦かラーメン』
キヨ 「お前男の前でよく麺類選んだな」
『…麺はキヨ兄と出掛ける時しか食べない。友達とも行ったことない』
私は今まで誰とも付き合った事ないけど(初恋をまだ拗らせているため)、確かに男の人と麺類食べには行けない。
だから、キヨ兄にひかれないとも限らない。
でも、ひかれても
『キヨ兄と、美味しいものは共有したいから』
へらっと笑って言うと、私より幾分も背が高いキヨ兄はふいとそっぽを向いた。
キヨ 「今日は、俺の奢り」
なんて、急にそう呟いた。
『え？…でもこれも食費から出すし、私の役割……』
キヨ 「いいの！お前は大人しく出されてろ」
と言って、すたすたと歩いていってしまうキヨ兄。
『…あっ！待ってよ、キヨ兄ー！』
急いで走って追いかける。
私に意地悪をして、その長い足で大股で歩くものだから一向に追いつかない。
『意地悪しないでよー！』
人の少ない通りを全速力で走る。
やっと追いついてきた、と思った瞬間キヨ兄が立ち止まる。
『わ、！』
どん、とキヨ兄の背中と私の体がぶつかる。
ぶつかった瞬間に手を出していて、その手は今キヨ兄の背中に。そしてぴったりと付いた私の体。
『……あ、ごめん！』
良い香りが鼻を掠めて、自分が今何をしているか考えさせて、一気に羞恥で頭が真っ白になる。
キヨ兄から全く返事が返ってこないと思えば、キヨ兄は携帯を見ている。
振り向いて私を見たキヨ兄の顔は、どうしようもなく寂しげに見えた。
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蘇澳(プロフ) - けろさん» コメントありがとうございます！とても励みになりました！お目に入れて頂き光栄です！これからも更新がんぱりますので宜しくお願いします^^ (2019年8月30日 16時) (
レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
けろ(プロフ) - 初めまして！毎回更新を楽しみにしています(^^)居候生活編も楽しみに待ってます笑小説書くのは大変だと思いますが応援しています！ (2019年8月30日 12時) (レス) id: 2aaeade905 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘇澳 | 作成日時：2019年8月12日 23時
