十一話 ページ11
真希side
ようやく名前を知って、絶対追いついて礼を言ってやるんだと、そう…心に決めて生きてきたのに。
目の前にある遺影に私は涙を我慢するので精一杯だった。
つい昨日のことのように思い出せるあの感覚を、私は忘れまいと心に閉じ込める。葬儀は見た目こそ盛大であったが、中身はすっからかんで、誰一人涙を流す人間はいなかった。
私たち雑用係を除いては。
あの人は女だったらしい。
男の人のように振る舞い、低い声に、少し猫背だった蛇使いの兄ちゃんの名前は云須。
私の目標だった人。
兄貴が一人いたらしいけど、その人のことは知らない。写真もないし、家を出ていたらしいから。もちろん云須さんの写真も昔のもので、まだ彼女が学生の時のものだった。
すごく美人だった。
真っ黒な長い髪、翡翠色の瞳が煌びやかに写る。
一度でいいから…彼女としての姿を見たかったなぁ。
「云須さんってどんな人だったんですか」
ふと、真衣が年上の同僚に問いかける。
彼は微笑んで上を見上げながら、親切に返答する。
それはもう…とても懐かしげに。
今にも震えて泣きそうな声を、これでもか、と振り絞りながら。
「お兄さんとは双子で、二人とも顔がそっくりだった。性格は真反対だったけれど…すごく優しい人だったんだよ」
「術師だったって」
「うん。うちでは初めてなんじゃないかな。とても誇らしかったよ!僕らでは成し遂げられないことを、あの人はやったんだ」
「え?」
「彼女たちは術式を持たない、天与呪縛でね。呪力も全くなくて、その代わりに身体能力が凄まじかった。そんな体を持ち、彼女は特級術師になったのさ」
信じられなかった。
でも、あの時ジジイを蹴り飛ばしたのを見て納得する。
私と同じ天与呪縛、それを持って生まれた私の上位互換。私という存在を極めれば辿り着ける、その頂に彼女は立っていた。
希望が。
希望が見えた。
ああ、だからか。だから彼女は私に言ったんだ。
強くなれ…って。
強くなれば当主にも成れるって、あの人は教えてくれたんだ。自分の身を以てそれを証明し続けたのだ。
この日、この瞬間から。
私は変わった。
そして数年後、私は奴に宣言する。
禪院家の当主になる、と。
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ツバメ - なんか甚爾が居ないのを前提にしてるからそこは凄くさびしいけど、彼女の意思と決意が強すぎてつい本人みたいに引き込まれてしまいそうです (2021年7月27日 23時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - クレイさん» 応援ありがとうございます、期待に応えられるよう精一杯やります!! (2021年3月11日 20時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
クレイ(プロフ) - 続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月11日 20時) (レス) id: a6777d967f (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - てる。さん» コメントありがとうございます!できるだけ面白く書けるように頑張ります!! (2021年3月5日 15時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
てる。 - 話の中に凄い引き込まれました。一言ではいい表せませんが、言葉が見つからない…!更新、楽しみに待ってます。 (2021年3月5日 14時) (レス) id: 5ec2a8a618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒野麻陽 | 作成日時:2021年2月17日 22時