これでも出ない ページ29
「まっ、いっか」
そう言ってイルミは考えるのをやめて私を見た
そして腕を掴んだかと思うと
____バキッ____
「ああああああああぁぁぁ」
私の腕を折ったのだ
なんの躊躇いもなく
痛さの余り目に涙が浮かぶ
ぼやける視界の中で腕を見ると
変な方向に曲がっている腕が赤く腫れ上がっていた
「んー、これでも出ないのかぁ」
イルミは悪びれる様子もなく首を横に傾けた
イルミは暫く痛みに堪えている私を見た後
「今日はもういいや、あんまりやると死んじゃうし」
と言って部屋を出た
イルミが部屋を出て暫く経ったあと
執事のような人が食事と医療道具を持ってきて
私の腕の手当を素早くした後に、食事だけ置いて静かに出ていった
食欲なんてある訳もなく、私は床に倒れ込んだまま腕を見つめていた
何故イルミは私を翼人だと断定するのか
私でさえ、私が何かのかわからないというのに
そう言えば前にもクラピカが私が翼人だと言うような発言をしていた気がする
これは後で聞いとかなきゃいけない
それにヒソカも
ハンター試験を受ける前に出会ったヒソカ
ハンター試験で会った時はメイクもしてたし、全然印象違ったから別の人かなとも思ってたけど
やっぱりあの二人は同一人物だ
ヒソカも私の事を翼人だと言った
それにヒソカは私の服の中に手を入れて、何かを探していたような気がする
もしかしたら、翼人は普通の人とは骨の形成が違うのかもしれない
確かめなきゃ
私は痛む腕を無視してふらつく足で立ち上がった
そっと扉に耳をつける
廊下からの物音は一切しない
私はそっと部屋のドアを開け僅かな隙間から外を覗く
見た限りでは誰も居ないみたいだ
今のうちにと痛む片腕を抑えながら小走りで出口を探す
歩く度に下駄が大きく響いた
私はもう下駄を捨てて、着崩れるのを気にしないで走った
しかしどれだけ走っても窓の一つも見つからない
ヒヤリと冷たい空気が、いつまでも続く薄暗い空間が、孤独が
全てが重なり徐々に心が恐怖に蝕まれていく
その時、後ろから気配を感じた
急いで後ろを見ると
「お前なんでこんな所にいんだよ……ってなんだその格好？」
驚いた顔のキルアがいた
「キルアッ！」
私はキルアに駆け寄った
キルアは驚いて私を見る
いつの間にか私の目からは大粒の涙が零れ落ちていた
キルアは何かを察したらしく優しく私の手を握った
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名無し - もっと作ってほしいです！続編見たい… (2023年2月20日 20時) (
レス) @page47 id: d19581cf0a (このIDを非表示/違反報告)
あい - この物語とても面白いです。続きが早く見たいです。 (2019年9月7日 20時) (レス) id: bcb6bd7e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Skin | 作成日時：2019年2月24日 20時
