元公安で元彼女は車椅子に乗っていました。 【降谷零】

６．降谷side ページ7

「スーパー寄りますか？」



引越し初日で、きっとスーパーには行ってないだろう。


それに、もう少し一緒にいたい。





『お願いします。』



Aがそれを言ったっきり、何も喋らなくなってしまった。





「…元気そうでよかった。」



そういうと、Aは安心したかのように笑った





『…私がやめて随分経つもんね。』



もう、5年か。




「…あぁ。」







『みんな元気？風見くんとか』







「元気だ。相変わらず毎日徹夜だ」








『…そう、よかった。

久しぶりに顔出してみようかな。』





5年経った今でも、Aのことを知ってるやつは
俺に聞いてくる。


「Aさんと、会いましたか？」





「Aさん、元気ですか？」




Aはみんなに頼られていたからな。


「あぁ、きっと喜ぶ」







Aside


そんなこんなで、スーパーに着いた。




零くんは車椅子を持ってきてくれた。




『ありがとう』



そう言って、車椅子に乗る。


零くんは、優しく暖かく押してくれた。




変わってないね。

なんにも。




このスーパーも


…零くんも。







「…家に、上がってもいいか？」




と静かに聞いてきた。


元カレだから。とかそんなのは関係ない。






『うん、いいよ。じゃあ肉じゃが作ろうかな。』








「ははは。久しぶりだな」





二度と、こんな会話できないと思っていた。


他の女性たちの目が痛い。


そりゃ、そうだ。

こんなにイケメンなのに。

だから私は、零くんから離れたのだ。






けど…けど、今日くらいいいでしょ。


今日くらい、許してくれるでしょ。

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