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かわいい39 ページ39

屋敷にて、みんな回復をはかっていた。



禰豆子ちゃんはとにかく寝て、


炭治郎君は痛みに耐え、


善逸君騒いで場を賑やかにし、


伊之助君は落ち込みまくってそれを励ました。




そんなある日のことだった。





伊之助「……オマエ、腹減ッテンノカ」




A「……え?」





炭治郎君や善逸君は寝静まり、

病室に伊之助君と二人きりの時にそう言われた。



私はドキリとした。


……そう、私は空腹なのだ。




京子ちゃんの血を飲んでからもう一ヶ月は経過している。


つまり、私は飢餓状態。



周りの植物から生命力を奪う量が増え、

空腹を月光浴と自分の血を舐めることで紛らわしていた。




それなのに、伊之助君は見抜いてしまった。





伊之助「……俺ノ血、イイゾ」




A「そんな!伊之助君は自分の治療に専念して。

……私は、大丈夫だから」





私はそう言って、ぎこちなく微笑んだ。



……本当は、大丈夫なんかじゃない。


自分の流れる血すら美味しく見えるようになっている。



でも、禰豆子ちゃんはこれを我慢してるんでしょ?


……私もそうなりたい。

血に頼らず生きたい。





伊之助「オマエ、善逸助ケタ。俺ノ子分、助ケタ。

ダカラ、俺モオマエヲ助ケタイ」




A「……伊之助君」





伊之助君はそう言って、長袖の袖をぐいっとまくった。





伊之助「ナンデ、我慢スル」




A「……嫌だ。嫌だよ。しまって」




伊之助「俺ガ良イッテ言ッテルダロ」




A「私が駄目なんだよ!!」




伊之助「っ」





気付いたら、大きな声を出していた。


真夜中なのに、迷惑になるのに、

それでも空腹と戦う私にそれを考慮する余裕なんて無かった。





伊之助「……俺ハ、炭治郎ヤ善逸ミタク、

匂イヤ音デ人ノ気持チガワカラナイ。



ダカラ、理由ヲ教エテホシイ」




A「っ……」





伊之助君の言葉に私は唇を噛む。



伊之助君は覚悟を決めて、私に血を差し出そうとしてるんだ。


それなのに、私は……自分のためにその好意を蔑ろにしてしまった。





A「だって……みんなに嫌われたくないもん。


みんなに……見放されたく無いから」





私は、嫌われたくなかった。




炭治郎君に、善逸君に、伊之助君に、禰豆子ちゃんに。


『人を食べなければ生きれない鬼だから』という理由で、

見放されたくなかったんだ。

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百鬼 - 京子ちゃんが付いていくかと思ったぁァアアア!!更新頑張ってください (2023年1月18日 15時) (レス) @page42 id: d82d2213ef (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです!更新楽しみに待ってます!更新お願いします!!! (2020年4月23日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 面白いです!これからも頑張ってくださいね! (2020年4月6日 18時) (レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - なんと…なんと…。 からの ドブみたいな臭いだ。は草 (2020年4月6日 18時) (レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
シホニャン - 面白いです。この続き気になります (2019年11月20日 18時) (レス) id: 39a09b6cce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:渡邉 なちゅ。 | 作成日時:2019年8月21日 22時

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