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A「善逸君、善逸君!」
善逸「はっ……は…………っ」
善逸君の毒の巡りは、凄まじいものだった。
こんな状態で動いていたの……?
私が鬼を斬ることができないから、
善逸君がこんなにも重症になってしまったんだ。
善逸「だ…い、……じょ…ぶ。
A……ちゃ、…け、が……な、く…よか……」
A「善逸君が守ってくれたから、私は怪我一つ無いんだよ。
ごめんね……ありがとう…………っ!」
善逸君はこんなにボロボロなのに、
私の身を案じてくれている。
私は怪我なんて治るんだから、よかったのに……。
でも、そんな私でも善逸君は守ってくれる。
とっても強くて優しい人だ。
それなのに……私は、
【命を奪う力】しか持ち合わせていない。
お姉ちゃんだったら……【命を与える力】で、
善逸君を助けることができたかもしれないのに。
……昔から、私は私が嫌いだった。
私は命を奪う卑しい子なんだ。
姉のように誰かを助けることも、
兄のように人の役にたつこともできない。
私はただただ生きゆく命の未来を断つことしかできぬのだ。
A「お月様、お願いです。
善逸君を治して下さい。お願いです……どうか……っ!」
私は、ただ月に祈ることしかできない。
月は、私の願いに力を貸してくれる。
でも……。
A「どうして……どうして、返事が無いの……っ!?」
……鬼になってから、
月が私に力を貸してくれることが少なくなった。
私は、本当は自然に愛されてなどいない。
私が姉と兄を食ったから。
太陽が愛する姉を、大地に恵まれた兄を、食べたから。
……だから、私はもう…自然に愛されてなどいないのだ。
この力も徐々に弱くなっている。
それは、薄々と気づいてた。
でも、気付かないふりをしていた。
……だって、私にはそれしかないから。
A「お願いです……どうか……っ!」
善逸君を殺さないで……!
私の大切な人なのに。
『思い出して、A。
貴女の力は、【命を奪う】ものでは無いでしょう』
その時、ふと懐かしい声がした。
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百鬼 - 京子ちゃんが付いていくかと思ったぁァアアア!!更新頑張ってください (2023年1月18日 15時) (レス) @page42 id: d82d2213ef (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです!更新楽しみに待ってます!更新お願いします!!! (2020年4月23日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 面白いです!これからも頑張ってくださいね! (2020年4月6日 18時) (レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - なんと…なんと…。 からの ドブみたいな臭いだ。は草 (2020年4月6日 18時) (レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
シホニャン - 面白いです。この続き気になります (2019年11月20日 18時) (レス) id: 39a09b6cce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渡邉 なちゅ。 | 作成日時:2019年8月21日 22時