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新しい"A"には、俺のことを"ご主人様"とは呼ばせてねェ。
俺をそう呼んでいたのは、俺と戦り合ったあのAだけだ。
その時気付いた。
"A"の瞳が金色に変わっていたことに。
「はい。出逢ったばかりの頃は、そう呼んでいましたね。もう随分と昔のことのように感じます」
胸ん中に、熱いモンが込み上げてくる。
あぁ、こいつは…今俺の目の前に居んのは…。
「あの頃の私はただの絡繰でした。そんな私に心をくれたのは…ただの識別番号七〇八だった私を"A"という人間にしてくれたのは、総悟様。貴方です」
「A……Aッ…!!」
涙を堪えることなんてできなかった。
もう二度と逢えねーと思ってたあいつが、今確かに俺の目の前に居るのだから。
その体を強く強く抱きしめて、俺は泣いた。
「馬鹿野郎ォ…もう二度と、あんな真似すんじゃねェ…二度と俺の前から消えんじゃねェ、俺が死ぬまでずっと傍に居やがれ馬鹿A…!!」
「申し訳ありません、総悟様…二度と総悟様の前から居なくならないと誓います。最期の
「ッ…当たり前でィ…!!」
その誓いを形にするかのように、どちらともなく互いの唇を合わせる。
触れ合った唇は、冷てェ筈の機械の体は…まるでAが本物の人間になったかのように暖かかった。
「私に、心をくれてありがとうございます。総悟様…」
〜Happy End〜
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2019年12月2日 12時