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神谷のことは、好きだ。
好きだけど、神谷との関係は恋愛において破綻している。
どれだけ付き合っている形をとっても、キスもして夜を一緒に過ごしても、私たちはずっと恋人じゃない何かのままだ。きっと神谷にとってはそれはステータスの1つで、付き合っていることに対する義務で、欲を晴らす行為でしかない。そのちょうどいい位置に立っていたのが私なだけだ。どんな形でもいいから求められたいと、姑息にそんなことを思っていた。
神谷のことが、好きだ。
今はそれを悟られることが怖いと思った。
いつか神谷は結婚するだろう。刑事という職業を考えれば、世間体を重視して家庭を持つことを上の部署からも強要されるはずだ。
神谷はまだ若いし、刑事として優秀で、顔立ちだって整っている。きっと相手には困らない。
だから私はいつか切り出される別れに怯えながら、なんでもないような顔でそれができるように、本気で好きにならないようにしている。
でも結局、そんなのとっくに手遅れで、今はただ簡単に手が離せるように深入りしたくないだけだ。
まだもう少し、都合のいい女で居たいのだ。
それでどれだけ傷付くことになったとしても。
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美桜(プロフ) - 続きがとても楽しみです!^^* (2023年1月26日 11時) (レス) @page16 id: 3c71fa7893 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 12話に誤字がありました。「操作資料」ではなく、「捜査資料」です。 (2019年9月22日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:依香 | 作成日時:2019年9月15日 3時