肆拾伍 ページ49
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「てん、ま....」
「ああ....!!ごめん、ごめん.....!!守ると誓ったのに....!!」
「ち、がうよ、天魔....天魔....“ありがとう”」
「!!!」
視界がぼやける程瞳から涙が溢れる。ダメだ、泣くな泣くな、ぼやけて紫昏の顔が見えない。
あの日自分が彼に向けて言った言葉を今度は自分が言われるとは思わなかった。鬼となり人格すら変わっても、紫昏は晶稔だった。彼はずっとずっとあの日のことを覚えていてくれていた。
「....A....」
「.....はい、」
「感謝する、斬られたのがAでよかった。
やっと俺は長い夜を明けることができる....」
そう言った天魔の姿は既に鬼などではなかった。ただ穏やかに紫昏を見つめ自分の死に安堵する。
望んで鬼になった訳ではない、ただ一心不乱に晶稔を守りたかっただけだった。
自分のしたことは決して許されることではないだろう、赦して欲しい訳ではない、ただ願わくば____
「来世は、友として君と会いたい____」
「ええ、来世は幸せな人生でありますように」
「最後に、名前を言ってくれ....」
「........天魔、いいえ、“高麗”。
貴方は頑張りました、もう眠ってもいいんですよ」
Aの言葉に返事することなくただ笑顔で朽ちていった。彼はやっと長い長い夜を明けることが出来たのだ。
鬼となった彼は幸せだったのだろうか、いいやそれを決めるのは自分ではない今はただ彼の偽りのない想いを胸に刻もう。
「ッ、」
「A、動くな!毒で酷いことになってるんだぞ....!!今すぐに蝶屋敷に....!!」
意識が朦朧とし、もはや彼らの顔すら認識できない。天魔が死んだことで血鬼術の毒は進行を止めたが廻り過ぎた。早く戻って治療しなければ彼女が危ない。
彼らも大怪我だがAに比べればかすり傷のようなものだ、錆兎が彼女を横抱きに運んでいる。Aは錆兎に揺られながらゆっくりと目を閉じ意識を暗転させた。
+・+・+・+
《大正コソコソ噂話》
焦って特に考えていませんでしたが錆兎はAを持ち上げた瞬間、軽すぎて驚いたそうです。予想してた筋肉量に比例してないそうな、本当にどこにいってるのでしょうね?
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Lotus(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです^^* ご期待に応えられるように精進してまいりますのでよろしくお願いします! (2019年11月17日 20時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - とっても素敵な作品ですね!!応援しています!!更新頑張ってください!! (2019年11月17日 19時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - すンずさん» わあー!ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです(*´`*) これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - とても面白いです!!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年11月8日 20時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます....!!!!急に消えたのに探していただいて有難いです!!!期待に応えられるよう精進してまいりますのでよろしくお願いします! (2019年10月27日 22時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lotus | 作成日時:2019年10月23日 20時