夜の使者【鬼滅の刃】

参拾肆 二匹の狐 ページ38

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｢はっ、はっ.....!!｣



｢お前の望み通りにしよう。


よいか、共にそこの奴と居たいのであれば私を満足させるように手足となれ。そうすればお前は永遠に近い時をそいつと過ごすことができる｣






それだけ言い男はいつの間にか消えてきた。



あの出来事は夢だったのだろうか、いや、目の前の悲惨な状況を見る限り現実であると言っている。



ああ、何故だろう、目の前の人間の屍が美味しそうに見える。異常に喉が渇く、腹が減る、あの血肉を屠りたい衝動に駆られる。







｢はっ、は.....ｺﾞｸｯ.....｣







思わず、気が付いたら口元には血が付いていた。気持ち悪い、自分は人間を食べている。



感じたことの無い感触に嫌悪感を感じるのに....なのに、何故こんなにも美味しいと思ってしまうのだ。自分は正真正銘の“化け物”となってしまった。







｢うう....｣



｢！晶稔！｣



｢こう、らい....?｣



｢ああ、俺だ。体は大丈夫か？｣






晶稔がのそりと起き上がる。



脚は生え、目が見えることに驚くだろうか、それとも勝手に鬼にしたことを怒るだろうか。それでもいい、自分は晶稔に生きてさえもらえれば。






｢大丈夫、それより僕も“それ”食べてもいい？｣



｢あ、ああ....｣






何かに驚くことも怒ることもなく目の前に転がっている“食事”にありついている。



可笑しい、自分の知っている晶稔ならもっと困惑するし急に人間をあんなに美味しそうに食べるはずがない。自分でさえ困惑し受け入れ難いというのに。





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