アイドル失格 FileNo.3

Story 97 ページ37

｢あんた、ほんとに…何者なのよ｣

『さっきからうるさい。教える気がないなら出てってくれる』



朝からダンスの練習をしていると、僕の担当になった講師がずっとこの調子。

何が言いたいのかさっぱり分からない。


｢だって、この間まで1曲通しで踊れなかった子が今はどう？｣


何曲でも続けて踊ってるじゃない。

体力はどうなってるのよ。


そう言いながら、僕をじろじろと見つめては｢筋肉量は正常｣とか

よく分からないことを口にし出すから、鬱陶しくてしょうがない。


『…ほんとに黙ってよ』

｢…はぁわかったわよ。そういう所も好きよ｣


そう言って再開するダンスレッスン。

自分の曲に振りをつけるのは当たり前だが、J-HOPEさんとのコラボがあるとかないとかで、候補の曲にダンスを軽くつけている。





.



『…ヒョン、コラボの練習は』

MN｢明後日だったかな、ホソクが時間を取ってくれてるから〜｣



明後日。

その日で曲が決まって、構成もそれなりに作れたらいいけど…


初めて誰かと一緒に何かをする。

それにイマイチ違和感を覚えている。


僕なんかが一緒に踊ったら、僕の悪い所が目立って騒がれたらめんどくさいな。

お前が一緒の空気吸ってんじゃねぇ。

ねちねちと嫌味を言われて、生卵投げられる。


その場面が安易に想像出来てしまうのは、なんとも情けない。

嫌になってくる。



MN｢ホソクが楽しみにしてたぞ〜｣

『…』



楽しみにされても困る。

ダンスが好き同士だけど、一緒に踊って楽しくなる。なんて保証はどこにもないし、仕事だし。

…

…

…はぁ、めんどくさい



そう思うのに、ダンス候補の曲をずっと聞いてる僕は矛盾してる。


僕は僕が分からないよ。

どうしたらいいんだろう。

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