アイドル失格

story27 YGside ページ28

俺に犬ができた。


無愛想で、静かで、ドジで、やたらと挙動不審の犬

名前はA。


そんな俺の犬がシルムに出る。


細いしチビだし筋肉ないしチビのアイツにシルムは無理だと思う。

いや、以外とパーカーの下はムキムキ！！みたいな感じなのかもしれない


少しワクワクしながらAの出番を待つけど


Aは俺の横でひたすらキョロキョロしている

落ち着きがない。


さっきまでは落ち着いてたのに…




YG「うるさい」

『…?』

YG「存在がうるせーよ」

『!!…』


言葉を発さず

ビクリと体を動かして

体育座りをするAは静かになった


と、いうより


なんか、凹んでる



これは俺のせいじゃない。

そう思うけど、未だ扱いのわからないコイツにきつく当たりすぎたかも知れない。

うちのマンネ達はこんなんじゃへこたれないから

つい癖が出てしまったのかも知れない



慰め…頑張れの意味を込めて


ぐしゃぐしゃと頭を撫でてやった


犬はたいてい喜ぶ



『…』

YG「!?」



むくりと顔をあげたAの口角が

心なしか上がっているように見えた。


パーカーの袖で口元を隠すあたり

許してくれたのだろう。


なんとも、扱い易い奴だった。



「次の出場者は〜」

「Aさん！」


『はぁ』



やっと呼ばれたAは

暗い顔をして司会者の元へ行った。


その後ろ姿があまりに頼りなさ過ぎて

ウケた



相手は三体制なのに対しAはひとり。


顔が既に死んでいる




「意気込みはどうですか」

『…がんばります』

「すばらしい！！！」



あまりの気力のなさに焦ったらしい司会者が、慌てて対戦相手に意気込みを聞いている


可哀想に


そう思いながらAのわかりやすい態度に

出会ったばかりの人見知りジョングクとどこかかぶって見えた


あーやっぱあいつは犬だわ。



そう思ったのはテヒョンと思われる人物がAに「頑張れーA！！かわいいー」と、声高らかに叫んだのを

一瞬きつく睨んで

ジニヒョンらしき人が「お前ならやれるぞ〜頑張れ〜」と言った時

一瞬キラキラと瞳を輝かせたから。



その後すぐに、

ズーンと肩を落としたAに


「期待しないでくれ」「注目されたくない」と思っているんだろうと予想できる。



始まった試合


結果は分かりきったA完敗で終わった。



『…』

YG「お疲れ」

『ね』




すこし蒸気した肌が少し色っぽくて


YG「お手」

『…?』



犬である事を再確認した。

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