廿漆 ページ33
炭治郎
……
自分の方が、Aさんの心を開く機会なんていくらでもあったはずなのに。
俺と炎柱の人を見てると、兄を思い出す、そう言っていた。
廊下で炎柱の人がAさんに楽しそうな声で話しかけている声がする。
炎柱の人はとにかく楽しそうな匂いがする。
炭治郎「俺の方が…。」
彼女に歳も近いし、何よりAさんの兄と似ている。
炭治郎「いやいや……。俺は長男だ」
そうだ、俺は長男だ、
厠に行こうとしていたが踵を孵し、廊下に背を向けて歩き出した。
-------❁ ❁ ❁-------
A
私は思ったよりも遥かに単純らしい、
感情を隠すようになってからそれも薄れたかと思ったが、遠い勘違いだ。
目の前にいるこの男。
煉獄杏寿郎の事を信じようだなんて考えているから。
杏寿郎「どうだ!俺を信じてはもらえぬか!」
「……考えとく」
うん、そうだ、これが一番いい回答の仕方だ。
杏寿郎「むぅ…、そうか!また会いに来る!」
「いや、また来るの…」
しのぶの屋敷なんだからせめてしのぶに許可を貰って欲しい。
杏寿郎「それではな!A少女!」
「!」
また頭を撫でられた。
懐かしい感触に思わず目を閉じる。
瞼にすぐ、兄さんの顔が浮かぶ。
死ぬ時も優しい顔だったな。
温もりが離れて目を開けると、既に後ろを向いていた。
手を伸ばそうとして、ふと止まる。
次会った時には、まあ。
「私より先に死ぬなよ、って言えばあいつは死なないかな」
頬に少し自分でもわかるほどに意地悪い顔で笑って見せた。
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ピエロ(プロフ) - ひーちゃさん» ありがとうございます!!そう言っていただけて嬉しいです…! (2020年2月28日 11時) (レス) id: ac5457e183 (このIDを非表示/違反報告)
ひーちゃ(プロフ) - めーっちゃよき!! (2020年2月27日 23時) (レス) id: a3b4ed7c89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピエロ | 作成日時:2019年1月21日 21時