普通が良い (ページ3)

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普通3 ページ3

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全ての講義が終わった

朝から何も食べていなかったのでお腹が空いた

滅多に来る機会はないけれど、このままだと家に帰るまで餓死しそうなので食堂へ来た

「…………安い」

今日は運良く半額dayらしい

私は迷わずハンバーグ定食を選び、程よくして料理が出てきた

美味しそうな香りに自然と頰が綻ぶ

味はと言うと、とても美味しい
いくらでも食べれると思えるくらいに

「ねえ、"✘✘✘"って知ってる？」

半分くらい食べた頃、後ろの席から会話が聞こえた

「知ってる〜！"天才歌い手"のことでしょ？」

私が最も聞きたくない内容だった

動機が早まる

嫌だな。そんな話聞きたくない

美味しかったはずのハンバーグも味がしなくなっていた

「そうそう、なんで辞めちゃったんだろうね」

「凄く人気で、天才って言われてみんなにちやほやされてたのにね〜」

気分が悪い

聞きたくない

YouTubeもniconicoもTwitterの垢だって、私に繋がるようなものは全て消した

なのに、なぜ

なぜ、未だに"✘✘✘"の名前が出てくるのだろうか

……私の事なのだろうか

思い違い？

もしかしたら、別の誰かかもしれない

きっとその人も天才だと言われ、なんらかの事情で辞めたのかもしれない

気になってしまう

辞めたのに

嫌なのに

トラウマなのに

はっきりとしない自分がとてつもなく嫌いだ

後ろの席の人達は"✘✘✘"の話を未だにしている

味のしなくなってしまったハンバーグを残し、食堂を後にした

残してごめんなさい