すれ違い、愛し合い。

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ーー北山sideーー






「Aっ！」




俺が叫ぶと、びっくりした様子で振り返って。




『…何してるの？』


「いや、あの…っ」



いざAを目の前にすると
何を話していいのか、全くわからない。





『急いでるんだけど』




そう言って、再び駅に向かおうとする
Aの腕を掴んだ。






「…待って」


『・・・』


「Aと話がしたい。」


『私は話すことない』


「俺があるの。ちょっとだけ時間ちょうだい？」








そのまま腕を引っ張って歩くと抵抗しないから、きっと俺の話を承諾してくれたんだ。




それだけでなんか、嬉しかった。









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「ん、座って」



近くの公園まで来てベンチに座る。




もう、ここまで来たら俺ちゃんと向き合う。









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「結婚、するんだって…？」


『えっ？』


「さっき聞こえた」


『・・・』


「今からすげぇダサいこと
言うんだけどさ、聞いてくれる？」


『…なに？』


「俺、Aが好き。
だから結婚しないで欲しいって思ってる」


『なに、言ってるの…？』


「ほんと、なに言ってるんだろうな、俺。
けどずっとAのこと忘れられない。
前までは俺のそばにいたのに、彼氏できて
どんどん遠い存在になってさ？もう耐えらんねぇよ」


『…そんなこと言われても』


「Aは？俺のこと好きじゃなかった？」





その瞬間、Aの表情が
少し歪んだのを俺は見逃さなかった。




『…好きじゃないよ』


「じゃあ、なんでそんな顔すんだよ？」




今にも泣き出しそうじゃねぇかよ。









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