屠所の羊 Ep.19 ページ40
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ホソクは惜しむことなく
かといって焦る様子もなく
ただ淡々とレシピ通りの料理を作るように、一つ一つの傷を体につけていた。
ジミンも抵抗しようと手を伸ばすが
まだ完治してない右腕は言うことを聞かずその腕が上がることはなく
唯一使える左手も片目が見えないため距離感覚が掴めずに、その手が彼に届くことはなかった。
『…いっ……!』
太ももに異常な痛みを感じ、咄嗟に確認すると服が破れていた。
白いパンツに鮮やかに広がる血。
この血は自分のものだとすぐにわかり、同時に右手にナイフを持っていることに気づいた。
無意識にどこからか取り出していたのだ。
光に反射し輝いた血のついたナイフを見れば不思議と気持ちが落ち着いてきた。
ナイフを持つ右手が疼く。
……今の自分なら殺れる。
そう思えた瞬間、立ち上がりホソクの方にまっすぐ進んでいた。
足の裏にねっとりとした血が絡みつく。
鉄の匂いが鼻に付いた時、ボメルに左手を添え、ホソクの胴体にナイフを当てた。
私の方に振り返った彼を見つめながら、ゆっくりと時間をかけて彼の体にナイフを押し込んだ。
「…」
何も言わず、パッとジミンの首から手を離しつま先をこちらに向けたホソク。
ナイフを握った私の手の上に自分の手を重ね、自ら自分の体にナイフを埋め込んだ。
「A」
ゆっくりと視線を上げると顔の半分以上が血みどろだった。
白い歯が見え、彼が笑っていることに気づく。
「……くっ……ははっ……はははっ!」
笑い声を聞いた瞬間、思わずナイフから手を離した。
それでも彼はナイフのハンドル部分から手を離すことなく、体からナイフを抜き出すともう一度自らの体にナイフを刺し
崩れるように倒れこんだ。
床に倒れた衝動で口から血を吐き出した彼。
『………リスト、消さなきゃ』
倒れ、動かなくなった彼の上に跨ると、彼が手を差し伸べ私の頬を撫でた。頬につく血。
彼が艶笑したところで両手で握ったナイフを振り上げ
心臓部に最後の一刺しをした。
顔に、彼の血が飛びかかってきた。
じわじわと、服に血が滲む。
『はぁ…っ…はぁ…っ…、はぁ…っ』
呼吸を整え
もうけして動くことのない彼の冷たい肌触れると、頬に涙が伝った。
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綺螺 - リアル・ニナイタ・ミタイデス (2020年3月9日 4時) (レス) id: 63cd4095fc (このIDを非表示/違反報告)
ぴょんてユラちゃん - 怖いけど泣けますね(・∀・) (2018年7月23日 18時) (レス) id: 1ab187734f (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 怖かったけど、面白いのでついつい先読みしたくなっちゃいました笑笑 (2018年4月7日 11時) (レス) id: 6ed9e5bdcb (このIDを非表示/違反報告)
くろぷけ(プロフ) - 初めまして!!!本当に愛が深くそれと同時に闇の深さを味わえる作品でした!!!衝撃的な部分ばかりで正直夜中に見るべきものじゃなかったですwwあまりの衝撃に「えぐ...」と声に出してしまいましたが、とても面白かったです!!!!!!(^ω^ (2018年3月31日 23時) (レス) id: d5c421cc77 (このIDを非表示/違反報告)
あゆた(プロフ) - リソヌさん» 初めまして!そういった感想をいただけて嬉しい限りです。゚(゚´ω`゚)゚。 番外編もいつか投稿しようと考えていたところだったので、もし書ければ投稿しようと思います^^ (2018年3月17日 16時) (レス) id: 7bc4b60aae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あゆた | 作成日時:2018年3月11日 21時