屠所の羊 Ep.5 ページ26
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私の頬に触れる手は
とても冷えていた
「なあ、聞いてる？今、目の前にいるのは、だれ？」
一言一言丁寧に
AIような口調で私に語りかける。
『ほ、そく…です……』
恐怖心が喉を詰まらせ
唾すらも出ず
途切れ途切れでしか話せない。
「…ふ、ふふ……ふは、はははっ！」
愉快だ、とでも言いたげな表情で
輪郭をなぞるように私の肌に手を滑らせる彼。
頬、顎、首、鎖骨、くびれ…
「その顔、その、可愛い顔。俺、好きだよ。大好きだよ」
彼の言う”可愛い顔”は”
怯えた顔”のことを指しているのだろうか。
「俺にしか見せない顔だね」
満足気に、弾んだ口調でそう言った彼。
「なあ、もっと見せて」
私の肩に腕を掛け、そのまま抱き寄せようとするのを必死に拒否する。
それでも男性の力に女性の力一つで勝てるわけもなく
じりじりと近づく彼との距離。
鼻と鼻が触れ、微かな彼の体温を感じた時
私のスマホのアラームが鳴った。
分かりやすくピクッと反応した彼。
部屋に鳴り響き続けるアラームの音。
「…」
手が震えて音を止めようにも止められない。
画面を何度もタップしているとヒョイっとスマホを取り上げられた。
そして難なくアラーム音を止めた彼。
「もうこんな時間……」
時刻は23時をとうに過ぎていた。
「次会う時は、電源切っといてね？」
スマホを返される。
そして玄関の方を向き、ドアを開けた。
「おやすみ、A」
帰り際に軽く口角を上げ、濡れた髪を揺らしながら出て行った。
ガチャンッ＿＿＿と重いドアの閉まる音。
それを聞いた途端、体の力が一気に抜けその場に膝をついた。
しばらく何も考えられず、放心状態が続いた。
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綺螺 - ﾘｱﾙ･ﾆﾅｲﾀ･ﾐﾀｲﾃﾞｽ (2020年3月9日 4時) (
レス) id: 63cd4095fc (このIDを非表示/違反報告)
ぴょんてユラちゃん - 怖いけど泣けますね(・∀・) (2018年7月23日 18時) (レス) id: 1ab187734f (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 怖かったけど、面白いのでついつい先読みしたくなっちゃいました笑笑 (2018年4月7日 11時) (レス) id: 6ed9e5bdcb (このIDを非表示/違反報告)
くろぷけ(プロフ) - 初めまして!!!本当に愛が深くそれと同時に闇の深さを味わえる作品でした!!!衝撃的な部分ばかりで正直夜中に見るべきものじゃなかったですwwあまりの衝撃に「えぐ...」と声に出してしまいましたが、とても面白かったです!!!!!!(＾ω＾ (2018年3月31日 23時) (レス) id: d5c421cc77 (このIDを非表示/違反報告)
あゆた(プロフ) - リソヌさん» 初めまして！そういった感想をいただけて嬉しい限りです｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ 番外編もいつか投稿しようと考えていたところだったので、もし書ければ投稿しようと思います＾＾ (2018年3月17日 16時) (レス) id: 7bc4b60aae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あゆた
| 作成日時：2018年3月11日 21時
