五十五 ページ10
五条「…恵はさ、本当にAと結ばれるつもりでいる?」
伏黒「…?なんですか、急に」
Aを起こさないようベッドに寝かせてから、恵は首を傾げる。
五条「いや、どう思ってるのかなって思って。ほら、結婚って本来は好きな人とするものでしょ?」
伏黒「…そう、ですね…最初は何言ってんだって思った時もありました」
Aに毛布を掛けながら恵は続ける。
伏黒「でも今はAの為ならいいと思ってますよ、俺は。Aは好きな人じゃなくて大切な人ですけど」
五条「家族になるんだよ?」
伏黒「別に今の関係と大して変わらないと思います」
五条「確かにね」
恵とは結構前からの付き合いではあるけど、やはり歳の割に達観していると思う。
五条「僕がAのこと幸せにするから譲ってって言ったら?」
不審がる視線に笑う。
伏黒「Aが望むならそうします。…ただ五条先生だって婚約者いるでしょ。結婚する気なんて微塵もないのかもしれませんけど」
五条「うん、ないかな」
伏黒「………最低ですね」
婚約なんて響きはいいが、蓋を開けてみれば束縛と同じだ。
Aの寝顔を眺めてふと口にする。
五条「僕はね、ずっと後悔してるんだ」
伏黒「五条先生でも後悔なんてするんですか」
五条「Aのことに関しては、後悔してばかりだよ。…後悔なんて意味ないのにね」
18年前のあの日、Aを突き放すのではなく傍に置く選択をしていたら、もしかしたら今のようにはなっていなかったかもしれない。
守れていたかもしれない。
伏黒「Aに冷たい態度を取ってたのは…」
五条「…ずっと嫌だった。Aに堅苦しい言葉を使われるのも、五条様なんて呼ばれるのも。冷たい態度を取っていれば、いつか我慢の限界が来て、ありのままの感情を僕にぶつけてくれると思ってた」
でも結局そんな日は来なくて。
五条「僕の選択はいつも間違ってる。…今まで散々な扱いをしておいて今更優しくするっていうのもね。それに僕、嫌われてるだろうし」
伏黒「…Aは五条先生のこと嫌ってなんかいませんよ」
五条「慰めてくれてる?」
伏黒「事実です。本人が言ってました」
恵の言葉に、僕は驚かずにはいられなかった。
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よっちゃん - すきすぎたやばいですね。。。。。。別の作品も頑張ってください (2021年2月6日 3時) (レス) id: 7291101692 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - レネットさん» コメントありがとうございます!アリスのことを好きになっていただけて作者は嬉しいです…レネットさんの心を満たせるような小説を書けていたなら心から良かったと思います(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2021年1月6日 11時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 最初読んだとき、アリスちゃん嫌な奴だな…と思ってたけど最後まで読んだらアリスちゃんを好きになっしまった…。そして七海のハンカチを差し出すという紳士的な振る舞いがカッコよすぎて心が満たされました。面白かったです。ありがとうございます。 (2020年12月31日 23時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - ccndayoさん» コメントありがとうございます…!とても嬉しいです。ccndayoさんの好みに合う小説を書けていたなら、良かったです(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2020年12月28日 12時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
ccndayo(プロフ) - 読ませて頂きました。もうホントに素敵すぎて途中途中感情移入しちゃって涙が出ました。小説も夢小説もたくさん読んできましたが私のどタイプな内容でした…。素敵な作品をありがとうございます (2020年12月27日 22時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年12月1日 16時