六十九 ページ24
意識が戻ったと自覚した瞬間起き上がり、あの呪霊共と有栖院に対する毒を吐いた。
『次会ったら絶対焦がす!!』
無意識のうちに術式を使ってしまったのかバチバチッと術式特有の音がする。
「意識が戻るなり不穏な発言をするね、全く」
『……悟、君??』
五条「…ちょ、フフ…ッ…この歳で悟“君”はないでしょ。悟でいいよ」
私はまだ夢の中から抜け出せていないのだろうか。
これが現実だと言われるより、夢の中だと言われた方がまだ納得できる。
だって五条悟が私に笑みを向けているのだから。
『…え?……は?』
五条「君のことだから、“夢?”とでも思ってるんだろうけど、残念。これは現実だ」
『…………』
頭が碌に回らないのは、目覚めた直後だからか、すぐ隣にいる五条悟のせいか。
五条「戸惑ってるとこ悪いけど、僕も我慢できそうにない。…ごめんね」
そう言って五条悟は私を引き寄せ、抱き締めた。
『五条…様?』
五条「悟でいいって言ってるだろ、A」
彼に下の名前で呼ばれるのは何年ぶりだろう。
五条「……生きててくれて良かった…」
『あ、え……私を助けたのは…?』
五条「…僕だよ。君が酷い状態で倒れてるのを見て、一瞬呼吸の仕方を忘れた。ごめん…本当にごめん」
これが本当に“あの”五条悟?
冷たい視線を送ってきて、辛辣な言葉の数々を私に向ける彼?
五条「……今までの君に対する扱い、言動、全てにおいて謝罪する。謝ったところで許されるとは思ってないけど、それでも…」
僕はずっと謝りたかったんだと彼は私を解放して言った。
『どうして急に謝ったりなんか…』
確かに彼の言動には理不尽さを感じたし、時には苛ついたけれど、特に気にしてはいなかった。
今気になるのはどうして私に謝る気になったのかということ。
私の問いに五条悟は、君が自由になったからだと言った。
五条「……A、僕の話聞いてくれる?」
真剣な彼の言葉に私は頷く。
五条「…18年前のあの日、僕は君を自由にしたかった」
『……え?』
五条「Aが仕える人間が誰なのか、僕はあの時初めて知った。自由を奪っていたのが自分達であることも」
五条悟は自嘲気味に笑う。
五条「それを知った瞬間、自分のことを呪い殺したくなった」
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よっちゃん - すきすぎたやばいですね。。。。。。別の作品も頑張ってください (2021年2月6日 3時) (レス) id: 7291101692 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - レネットさん» コメントありがとうございます!アリスのことを好きになっていただけて作者は嬉しいです…レネットさんの心を満たせるような小説を書けていたなら心から良かったと思います(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2021年1月6日 11時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 最初読んだとき、アリスちゃん嫌な奴だな…と思ってたけど最後まで読んだらアリスちゃんを好きになっしまった…。そして七海のハンカチを差し出すという紳士的な振る舞いがカッコよすぎて心が満たされました。面白かったです。ありがとうございます。 (2020年12月31日 23時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - ccndayoさん» コメントありがとうございます…!とても嬉しいです。ccndayoさんの好みに合う小説を書けていたなら、良かったです(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2020年12月28日 12時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
ccndayo(プロフ) - 読ませて頂きました。もうホントに素敵すぎて途中途中感情移入しちゃって涙が出ました。小説も夢小説もたくさん読んできましたが私のどタイプな内容でした…。素敵な作品をありがとうございます (2020年12月27日 22時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年12月1日 16時