三十六 ページ37
12月23日__
「…おい」
私が自由になる日は来るんだろうか。
母が目覚めて私の名を呼んでくれるのはいつになるんだろうか。
あの日、私が夏油君の手を取っていたら今頃どんな風になっていたんだろう。
『今日は少し寒いな』
伏黒「A!!」
『あ、恵。ごめん気付かなかった』
頬杖をついて窓の外を眺めていた私の隣にはいつの間にか恵がいた。
彼は今中学3年生で、来年になれば高専に入学してくる。
伏黒「いつもなら声掛けなくても気付くのに。…考え事?」
甚爾に更に似てきた彼に微笑む。
『恵の顔見たら悩んでるのがアホらしくなった。ありがと』
そう言って彼の頭を乱暴に撫でる。
“やっぱり甚爾に似てるね”なんて言えば、顔を顰めると分かりきっているので心の内に留めておく。
伏黒「子供扱いすんなよ。…仮にも婚約者だぞ」
『恵が自分からそういうこと言うなんて珍しいね。…明日は雪かな』
伏黒「あ"?」
『嘘だよ。怒らないで』
伏黒「別に怒ってない」
恵には何も隠さずにいられた。
私の実力も恵は知っているし、五条悟との関係だって知っていた。
一緒にいて楽だった。
昔の…五条悟と過ごした時間と同じくらい私にとっては大切な時間。
『それで今日はなんで高専に?』
伏黒「ちょっとあの人に用があって」
恵の言うあの人というのは五条悟を指していた。
伏黒「…会うたびにAとの婚約やめなよって言ってくるんだけど。…本当なんだよ、あの人」
『恵のこと好きだからじゃない?』
私と婚姻させたくないくらいには。
伏黒「今日来たのはあの人に用があるからっていうのもあるけど、Aに会いに来たってのもある」
『え』
伏黒「最近見掛けなかったから少し心配だったんだよ。…その様子じゃ、必要なかったみたいだけど」
『恵は本当いい子だよね。私の婚約者には勿体ないや』
確かに顔は甚爾に似ていても、性格は全然違う。
性格を形成するのは、やはり環境なんだと改めて思った。
伏黒「その発言、結局子供扱いしてるだろ」
『子供とは思ってないよ。年齢の割に恵は大人びてると思うし』
だからこそ恵の前では本当の自分でいられる。
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茜雫 - 書いている世界観が好きで何度も読んでいるので閲覧数の15分の1は私かもしれないです笑 (2020年11月29日 22時) (レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - 茜雫さん» えぇ!前作から見てくださっていたんですか!?ありがとうございます!とても嬉しいです…これからも面白いと思ってもらえるよう、無理せず頑張ります!コメントありがとうございました!! (2020年11月29日 18時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
茜雫 - 初めまして!続きを楽しみに読みながら…何度も読み返してます笑前作同様、とても面白い内容なので、続きが楽しみです!無理せず更新頑張ってください! (2020年11月29日 18時) (レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - いーすとさん» コメントありがとうございます!世界観が好きだと言ってもらえて嬉しいです。前作とは少し違う感じに書きたいなと思っていたので…これからも頑張らせていただきます!!ありがとうございます!! (2020年11月29日 16時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
いーすと - なんか世界観がめちゃ好きです!これからも頑張って下さいね!読み続けます!! (2020年11月29日 15時) (レス) id: e22cc70c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年11月27日 21時