十八 ページ19
五条side
有栖院「ねぇ、本当は何を言おうとしてたの?」
五条「何の話だよ」
有栖院「とぼけないで。私が来る前の話」
五条「…なんでわざわざあいつの前で許嫁だとか抜かした?」
有栖院「事実じゃん。それに質問してるのは私でしょ」
親同士が勝手に決めた将来の相手。
興味なんて欠片もなかったし、数年の付き合いではあるが好きだと思ったことは1度もない。
そもそもの話、惹かれるところがなかった。
有栖院「…蒼社Aとか言ったっけ?あの子のこと考えてる?」
五条「あのさ、俺が何考えてようがアリスには関係ないし、干渉を許した覚えもねぇんだけど」
俺がアリスを許嫁として傍に置いているのは他の縁談が舞い込んでこなくなるから、という単純な理由からだった。
有栖院「…悟」
五条「黙れよ。今イライラしてんの。見てて分かんない?」
本来Aにぶつけるはずだった感情をアリスにぶつければ彼女は黙り、不服そうな表情をして廊下の角に消えた。
五条「………」
俺はAを自由にしたかった。
3年前、蒼社の家からAがいなくなったと聞いた時は一瞬焦ったが、あの家から解放されたのだとすればそれでもいいと思っていたのに。
なのに再会してみればあの有り様だ。
昔…初めて会った時よりも酷くなっていた。
五条「…なんだよ、あれ」
俺の役に立つことを心から望んだのかと問えば、彼女は迷うことなく頷き、俺の為なら死んでも構わないと言った。
自分の生い立ち上、他人が何を思っているかそれなりに見抜ける自信はあった。
そんな俺でも見抜けなかったAの真意。
もしかするとあいつは感情なんてもの捨ててしまったんじゃないか、と。
ふと思ってしまって。
俺はこんな未来を望んでいたわけじゃない。
望んでいたわけじゃないのに、こうなってしまった。
俺は何を間違えた?
今更考えても意味などないというのに、不毛な思考だというのに、俺は暫くその場から動けなかった。
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茜雫 - 書いている世界観が好きで何度も読んでいるので閲覧数の15分の1は私かもしれないです笑 (2020年11月29日 22時) (レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - 茜雫さん» えぇ!前作から見てくださっていたんですか!?ありがとうございます!とても嬉しいです…これからも面白いと思ってもらえるよう、無理せず頑張ります!コメントありがとうございました!! (2020年11月29日 18時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
茜雫 - 初めまして!続きを楽しみに読みながら…何度も読み返してます笑前作同様、とても面白い内容なので、続きが楽しみです!無理せず更新頑張ってください! (2020年11月29日 18時) (レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - いーすとさん» コメントありがとうございます!世界観が好きだと言ってもらえて嬉しいです。前作とは少し違う感じに書きたいなと思っていたので…これからも頑張らせていただきます!!ありがとうございます!! (2020年11月29日 16時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
いーすと - なんか世界観がめちゃ好きです!これからも頑張って下さいね!読み続けます!! (2020年11月29日 15時) (レス) id: e22cc70c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年11月27日 21時