十四 ページ15
3年ぶりに戻って来た蒼社の屋敷は何ら変わっていないように見えて、それが余計に嫌悪感を増幅させた。
敷地に足を踏み入れようとしたところで蒼社の非術師共が私の行手を遮る。
『ご要望通り帰ってきてやった。…お母さんに会わせて』
男「調子に乗るなよ…！ガキが」
そう言った彼には見覚えがあった。
忘れるはずもない。
五条悟に対して殺しても構わないと言い放った遠い血縁の男だったのだから。
『そのガキに殺されるか、さっさと道を開けるか選ばせてやるよ』
足元に術式を軽く放っただけで、大袈裟に騒ぐ彼らを一瞥してから、母がいるであろう場所に向かって歩を進める。
『…はぁ…あなた方は私の邪魔しないと気が済まないんですか？』
母の部屋まであと少しというところで出会ってしまったのは蒼社の中でもそれなりに権威のある男…言ってしまえば老人だった。
彼は私を見ても顔色ひとつ変えない。
恐らく私が帰ってくることを事前に知っていたのだろう。
母の付き人だって上の人間に逆らえるほど命知らずではないはずだ。
教えろと言われれば教えるしかない。
少なくとも蒼社の家はそうやってできている。
『…母に会わせてください』
爺「それは不可能だ。部屋に入ろうものなら術式が乱れて紅葉はすぐにでも命を落とす」
『は？』
術式…目の前の男は確かにそう言った。
『母は病に臥せたと聞きました。なのにどうして…』
爺「それは紅葉の嘘。実際は呪われた。お前を逃すという大罪を犯したのだ。いつ呪われてもおかしくはなかった」
『な…にを…』
爺「…紅葉を助けたいのならば再び五条様の役に立て」
『…っ…またそうやって…五条様って』
私はもう思い出したくもないというのに。
蓋をしたはずの感情が溢れ出しそうになる。
『私は五条様にとって必要ないと判断されましたが』
爺「いざという時の盾くらいにはなるだろう。お前に拒否権はない」
事実だった。
ここで拒否してしまえば母が死ぬ。
生みの親を、大切に育ててくれた人を簡単に見捨てられる程私は強くない。
『…分かりました』
結局私は彼らの傀儡でしかない。
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茜雫 - 書いている世界観が好きで何度も読んでいるので閲覧数の15分の1は私かもしれないです笑 (2020年11月29日 22時) (
レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - 茜雫さん» えぇ！前作から見てくださっていたんですか！？ありがとうございます！とても嬉しいです…これからも面白いと思ってもらえるよう、無理せず頑張ります！コメントありがとうございました！！ (2020年11月29日 18時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
茜雫 - 初めまして！続きを楽しみに読みながら…何度も読み返してます笑前作同様、とても面白い内容なので、続きが楽しみです！無理せず更新頑張ってください！ (2020年11月29日 18時) (レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - いーすとさん» コメントありがとうございます！世界観が好きだと言ってもらえて嬉しいです。前作とは少し違う感じに書きたいなと思っていたので…これからも頑張らせていただきます！！ありがとうございます！！ (2020年11月29日 16時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
いーすと - なんか世界観がめちゃ好きです！これからも頑張って下さいね！読み続けます！！ (2020年11月29日 15時) (レス) id: e22cc70c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹葉
| 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時：2020年11月27日 21時
