私を女避けにするな後輩。【呪術廻戦】

38.好き"だった" ページ38

二条side





『あ、おは、よう…傑君』



夏油「A先輩…！？その髪どうしたんですか…？」





五条悟に会いたくなさすぎて少し早めに寮を出た私は傑君とばったり出会してしまい、案の定な反応に"ははは…"と乾いた笑いを返す。





『ちょっとした気の迷い…かな…あはは…』





今思えば本当に馬鹿なことをしたと思う。



元々手先は器用な方だったから、見るも無残な状態になるのは避けられたけど、やはり素人が自分の髪を切るなんて馬鹿な真似はしちゃいけない。





夏油「もしかして髪を切ったのって…悟が…」



『私、彼のこと好きだったみたい。でもそれもほら、昨日までのことだから』





いつものように笑みを浮かべれば、傑君は少しの間黙ってしまう。





夏油「…私は先輩のことを実の姉のように思っています。だからどうしても幸せになって欲しかった。悟と付き合っていたのも弱みを握られていたからだと…」





うん、ぶっちゃけ弱み握られてたね。



てか傑君の好きは家族愛的な好きだったのか。なんかすっきりした。





夏油「だから悟と別れられて良かった、なんて昨日までは思ってました。…でもそんなことないんですよね？悟のことが好きだったなら、どうして別れ話なんて…」



『それは秘密かな』





傑君の言葉を遮った後に、彼の背を押す。





『ほらほら、行くよ〜』



夏油「あ、ちょっ、A先輩！？」





分かりやすく戸惑う傑君は面白いし、見ていて癒される。



こんな幸せな時間が永遠に続けばいいなと思っていれば、私の願いをぶち壊すかのように、校舎の入り口に見知った後ろ姿を二つ見つけてしまい、私の足は自然と止まる。





夏油「あれは悟…と…？」



『鳴上先輩だね』





遠目からでも二人の距離が近いことが分かる。



これはもしかしてあれかな…？鳴上麗華の告白が無事に終わって、気持ちが通じ合った嬉しさから二人は口付けを…





『……五条悟の馬鹿』



夏油「えっ？」





女遊びやめたとか言いながら私に無理矢理キスしたくせに。



鳴上麗華のことが好きなら私にキスなんてするなよ。



馬鹿。本っっっっ当に馬鹿。



もう暫くは五条悟の存在を視界には入れないし、声も聞かない。



そう心に誓った。

39.→←37.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す