・ ページ24
『初めまして名雪家当主の名雪Aで_____』
襖を開けて自分の名を名乗り、“本日は当屋敷まで足を運んでくださりありがとうございます”と簡単な挨拶をすればいいだけだった。
一応名のある家で育った私にとっては造作もないこと。
それなのに言葉に詰まったのは結婚相手(候補)に問題があったからである。
独特な眼鏡にスーツ。
彼は私の姿を視認するなり口を開こうとしたので、その前に私は襖を再度閉め、背後に控えていた土下座太郎君の胸倉を掴んだ。
『おいコラどういうことだ?あ"?なんで七海が正座して待ってんだよ』
従者「い、いや…ですから…彼が…」
『んなの分かってるわ。私が聞きたいのはどうやって七海を説得したんだってことだよ…!!』
あの七海が私との結婚を認めるなんて冗談でも有り得ない。
七海と仲が悪いとは思わないし、寧ろ良い方だとは思うけど七海なら“世間話をする程度の仲ではありますが、結婚なんて論外ですね。考えただけでも恐ろしい”とか絶対言うから!
従者「お、俺は知りません…!俺は主にA様の身の回りの世話が担当ですので…」
『………あれ。いつも近くにいると思ったらお世話係は土下座太郎君だったのか。納得…じゃねぇから!!』
従者「今更過ぎませんか!?あと俺にキレないでください!!決めたのは前当主様と高専の夜蛾とかいう厳ついオジサ……あ"」
今コイツは間違いなく高専の夜蛾と言った。
高専に夜蛾なんて独特な苗字を持つ人は一人しかいない。
『なーにが“俺は知りません…!”だ。目を潤ませて言えばなんでも許されるとか思ってんのか…?他にもなんか知ってんじゃないの?吐けや、オラ』
今の私は機嫌が頗る悪いのである。
従者「いや…本当にこれだけしか知りません…!!」
七海「いつまで来客を待たせるつもりですか。それに声がこちらにまで聞こえていますよ」
躊躇うことなく開かれた襖の先には真顔の七海。
そんな七海に私は
『よ……よぉ…ナナミン…』
と片手を挙げたのだった。
5043人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
shyaberuazarashi(プロフ) - やばい解釈一致すぎる…すっきりしたしもう色々最高でした! (12月18日 22時) (レス) @page46 id: e3d211137e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり?★*゚(プロフ) - このくそヤリチン五条許せん、、、!ヒロイン普通に可哀想 (7月24日 11時) (レス) @page31 id: 35bcc8e605 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - いや五がそもそもあありえないけど、別れたって元カノに言ってたよね?あれでよく許せたな (2021年10月25日 5時) (レス) @page46 id: c00755ba92 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん - 何だか最後までヒロイン報われなくて可哀想、、もっとこの糞ヤリチンを徹底的にボコボコにしてあげて欲しかった(笑) (2021年7月3日 8時) (レス) id: c2c5a94e17 (このIDを非表示/違反報告)
みー - この作品めちゃくちゃ面白かったです!鈴ちゃんが五条先生を殴っててくれて安心しました!(笑)あのまま許してたら私の気が収まらん!!本当に面白かったです! (2021年2月26日 20時) (レス) id: bb74a842ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年1月12日 1時