最強が浮気しやがった【五条悟】

別れよ ページ12

家入「…で耐えられなくなって私がいる高専まで逃げて来たと」





『うん。そういえば今日硝子宿直だったなって思い出したから』





家入「Aの気持ちも分かるけど、ちょっとまずいことになるかもね」





え？と首を傾げた私と、頬杖をついた硝子。





家入「だって薬盛られた状態で一人だぞ？自慰するにしたって限度があるだろ。最悪の場合、家に女を連れ込む」





だって相手はあの五条だからなと付け足した硝子に、私は今にも泣いてしまいそうだった。





『じゃあ私は大人しく抱かれてた方がよかったってこと…？』





家入「そうは言ってない。それに今すぐ戻ればまだ間に合うかもしれないし…っておい、A！」





高専に来て三十分も経ってないというのに私は医務室を飛び出す。




お願いします、どうか間に合ってください神様…と普段は信じてもいない架空の存在に願った。





・





『…………っ』





玄関に女物の靴があると気付かない程焦っていた私の目に映るのは何も着ていない女の上に乗る半裸の五条。




私が戻ってくるだなんて思ってもいなかったのだろう。




五条はその動きを完全に止めた。





『それは…さ…流石にダメだろ。……もう私そのベッドで寝られないじゃん』





五条「………A」





『信じたくなかった。…ホント男運無さすぎじゃんね。二回付き合ったうち二回とも浮気されるとか。…そんなに魅力ないのかなぁ、私』





五条「待っ…これは違…！」





『何が違うんだよ。変に言い訳したらそこの女共々殺すぞ、クソ男』





無意識のうちに術式を発動させてしまったのは幾度目だろうか。




寝室が端の方から少しずつ凍っていく。





『別れよ、五条』





五条「………え…？」





意味が分からないと言いたげな様子が余計に私を苛々させて。





『もう二度と私の前に現れんな。話し掛けんな。好きだとか愛してるとか薄っぺらい嘘の言葉を並べんな』





五条「A…！」





『名前で呼ばないでくれる？五条“さん”。次名前で呼んだらマジで殺す』





五条「…っ」





悲痛な表情。





『お前なんか好きになるんじゃなかった』





五条に背を向けると同時に術式を解けば、氷の割れる音が響いた。

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