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三十八 ページ39

『貴方と出会わなければ良かったと思ったのは貴方を不幸にしてしまったからです。私が貴方に拒絶されることを怖がらずに想いを伝えていれば、あんなことにはならなかった。ごめんなさい』




今更謝っても、想いを伝えても遅すぎるけれど。けどこれがずっと彼女の心残りだったのだ。




五条「今も僕のことを大切だと思ってくれてるの…?愛してくれてるの…?」




悟さんの問いに私は首を横に振る。




『私はもうあの頃の私じゃありません。記憶はあっても同一人物ではない。あんなに性格も良くないし、お嬢様でもない。あの頃の私はもういないんです』



五条「っ…」



『貴方も分かってるでしょ。もう私と貴方の時間は交わらない。終わってしまったものは、もう元には戻らないんですよ』




あの日々はもう戻って来ない。どれだけ願っても、やり直そうとしても、絶対に。




五条「そんなの…分かりたくなんてない。Aの言っていることが本当なら僕は…僕がしたことは」



『大の大人が泣かないでくださいよ』




ぽつりとベッドの上に染みを作ったのは悟さんの涙だった。五条君と違って彼はよく泣くなぁと少し笑ってしまう。




『貴方がしたことを過去の私の父親や世間は許してくれないかもしれない。でもね、私は許します。というか少し嬉しかった』



五条「は…?殺された相手に何言ってるの…?」



『死ぬ間際ではあったけど、貴方が私を想い続けてくれていたことを知れたから。私、あの瞬間もちゃんと幸せだったんですよ。あのまま好きでもない人と過ごしていく未来よりもずっと』




確かに苦しかったし、心残りにもなったけれど。




五条「……本当に馬鹿だよ、君は」



『現代の貴方にもよく言われます』




馬鹿だとかアホだとか。




五条「ねぇA」



『なんでしょう』



五条「一つだけ僕の願いを聞いてくれる?」



『はい、喜んで』




悟さんは涙目で微笑む。初めての頼みに私は快く頷いた。




五条「僕だけのものになってほしい」



『それは…どういう意味で…?』




ニュアンス的に怪しいその言葉の意味を聞いたけれど、気付けばベッドに押し倒されていた。




五条「こういう意味で」



『え…ちょ…え??待って、流石に部屋は変えましょう??』



五条「お願い。…優しくするから」




久しぶりに見た綺麗な悟さんの笑みに私は負けた。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:恋愛
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?(プロフ) - 今までで1番好きなお話に出会えて本当に幸せですㅠㅠ感情移入し過ぎて自分までもが懐かしい気分になってしまい不思議な感覚でした笑主様の文章力ありすぎて考察もしやすかったです、がち尊敬です!素敵なお話ありがとうございました🥹💗💗 (3月17日 7時) (レス) id: 0539db3d38 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» ありがとうございます…!次回作も楽しみにしていただければ…!!(o^^o) (2022年1月26日 17時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - 完結おめでとうございます!!!名作すぎるので何度も読み返します笑次回作も楽しみです!! (2022年1月26日 15時) (レス) @page42 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» えねごりらさんコメントありがとうございました…おかげさまで変な終わり方にはなりましたが完結できました…!本当励みになっていたので心からの感謝を申し上げますッ!! (2022年1月26日 1時) (レス) @page42 id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - すれ違ってる…切ないが溢れ出てます!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!更新お疲れ様です(о´∀`о) (2022年1月25日 21時) (レス) @page35 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613  
作成日時:2022年1月17日 20時

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