�� - 001 心の闇は自分自身には隠せない ページ31
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「どうしても行くのか。A」
Aが最終選別に向かう前日のこと。鱗滝は藪から棒にこんなことを言った。素振りの手が止まったのは言うまでもない。
何故今、明日と迫っているのに切羽が詰まったように腕を掴んで阻むようなことを言うのだろう、Aは疑問を抱いて竹刀を下ろし、鱗滝に体ごと向き合った。天狗の面のせいで表情は分からなずとも、彼の空気が酷く揺れ動いていた。
人一倍鼻が利く鱗滝もAの困惑と疑問の匂いを感じ取っている。
「どうしたんですか」
問いを問いで返してしまうことを申し訳ないとは思ったがどうしても気になってしまった。
鱗滝が優しいのは知っている。あの日拾われてより今まで過ごしてきてそれはとてもよく知っている。この身に受けた温もりと気遣いと愛情をもって知っている。大好きだと言える。だけれど、今の発言はどうにも脈略が無いし、突飛だった。
「………………………………………」
鱗滝は何も言わなかった。言葉を選んでいるのかなと思いAも黙って言葉を待っていた。
天狗の鼻が上を向いたのでどうぞ。話してください。と言う意味を込めて微笑んだ。
「お前には生きて欲しい」
「…………………それは」
暫く──脳の機能が死んだ。
「最終選別に行くなと言うことですか？」
そんな事を言わないで欲しかった。と。Aは酷く傷ついた顔を俯かせた。彼女の足元の土の色が円形に濃くなり、ポタリポタリと変わってゆく。
今度は鱗滝の機能が死ぬ番であった。泣かせるつもりなどなかった。どうして、ああ、泣かせてしまった。めちゃくちゃになった心をぶら下げてAの元へ走る。両肩に手を置く。か細い嗚咽が耳に触れ、ぎゅぅっと抱き締めた。
「すまない、すまなかった。お前を傷つけるつもりで言った訳では無い、A、泣くな」
「私は……情けないでしょうか……」
華奢な背中を撫でる手がぴたりと止まる。
「私は………父さんの信用に足りない弱い人間なのでしょうか……、私、は、貴方のような強い剣士に……なりたく、っ」
「すまない」
なんてことを言ってしまったのだろう。
例え、これまで見送った弟子を尽く出迎えてやることが出来なかった悲しい過去があるとはいえ、それを知らないこの子に、明日最終選別を控えたこの子に言うべきではなかった。
鱗滝は心の底から己の発言と心持ちを恥じた。
この子は、Aはこんなにも立派な心を持って生きているのに。
「私は…………」
�� - 002 平安は外から来るのではない→←IV - 008 自分についてのくだらない思いこみから抜け出せ
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
