IV - 004 誰でも正義や真理とは何かを考える必要がある ページ26
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「…………………………。水の呼吸が使えません」
「諦めるな」
バシコン。と鱗滝に背中を叩かれた。あまり痛みがないのはやはりAが女の子だから故の配慮だろう。それを不服に思う余裕すら今の彼女には無かった。言葉の通り、水の呼吸を会得出来ずそんな日々が続いてもう半年近い。
剣の才能が無いのではと零せば「それは有り得んな」と鱗滝に断言され、水の呼吸が身体に合わないのかなと呟けば「そうかもしれん」と後ろで呟かれ、容赦の無さを痛感した。
「A！ この刀打ち直してくるから待ってろよ！」
なんて言って意気揚々と去って行った鋼鐵塚の背中を鍛錬中に恋しく思ってしまう程だ。
Aは己の不甲斐なさに打ちのめされていた。なんて駄目な奴なんだ私は、まだ努力が足りないのか、やはり女体だから力量不足なのか、と頭を抱える日々。
どれだけ素振りをしても狭霧山を登り下りしても、腕立て伏せをしても腹筋をしても刀に一日中触れていても何か足りない。水の呼吸が欠片として使えない。
鱗滝がひとたび刀を振るえば鮮やかな水色が流れると言うのに。Aの刀は何も生み出さない。空気をかするだけで、文字の通り雲泥の差だ。
「父さん、水を知ればいいのでしょうか」
「知る事はいいが入水はお門違いだな」
「では飲む等は」
「外れている」
「では土を掘って水を」
「少し休めA。頭がかたい」
申し訳ない……顔をクシャッとしたAは鱗滝に深深と頭を下げてからいつもは真っ直ぐな背筋を僅かに曲げた。開けた場所から草木の多い道を歩く。狭霧山を登る時より遥かに重い足腰。
刀に愛されていようと水には嫌われているのかもしれない。Aは腰に穿いた刀を見やる。鱗滝から譲り受けたものなので勿論刀身は涼やかな水色をしている。
「私にこの色は烏滸がましいという事だろうか」
悩む。悩みに悩む。脳の血管という血管が全てはち切れてしまいそうな程。
「う！？」
顔の前を茶色い何かが掠った。持ち前の瞬発力で後ろに避けたAだったが、前髪が数ミリ切れた。なんだ、と周囲を見渡す。鱗滝の罠だ──。
狭霧山のみに仕掛けられていたあの罠の数々。落とし穴に始まり飛んでくる丸太、降り掛かる棒。遅い来る網。それらが今こんな所に移されている。何故だ、と混乱に思考力がそがれた。
踵が何かに触れた。瞬間。ギッと鈍い音。
「わっ！？」
紐に引っ掛かってしまった。
今度は背後から木の葉の塊が飛んで来た。
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
